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【相棒16第6話「ジョーカー」感想】もし自分の父親が私利私欲に走る悪い政治家だったら。

この記事では2017年11月22日に放送された【相棒16第6話「ジョーカー」】の感想を記述しています。

 

「私を殺すつもり?」

人は、弱い生き物です。
どんなに正義を貫こうとしても、圧力に屈してしまうことがあります。
【相棒16「ジョーカー」】の最初の場面には「主人公」がいませんでした。
法廷。
警視庁を訴えた元刑事。その弁護士。警察の代表として出廷した大河内主席監察官。傍聴席にいる特命係の2人。
主人公は、元刑事の妻でした。
妻は半年前に、歩道橋から転落死しました。
妻の死は自殺として処理されました。
夫は殺人を主張しました。
彼が警視庁を訴えたのは、妻の死について、再捜査させるためでした。
妻は、死ぬ直前に、正体不明の男に向かって「私を殺すつもり?」と声を荒げていました。
誰が、妻を殺したのか。
右京さんは言いました。
「これは、残酷な結末を迎えることになるかもしれませんよ…」と。
今回の事件は、確かに残酷な結末になりました。
しかし、今回の「相棒」は、最後の最後に視聴者を泣かせる感動を与えてくれました。
この「感動」があるから、私たちは安心して「相棒」を見ることができます。
キーワードは「民自党」です。

 

みんな大好き「民自党」

「民自党」は、「2サス(2時間サスペンスドラマ)」を中心とした探偵ものドラマの中でよく出てくる、架空の政党です。
民自党には悪い政治家がたくさんいます。
民放各局の垣根を超えて、民自党の政治家のほとんどは、カネと自己保身のためだけに議員活動を続けています。
妻の父は民自党の大物議員です。決めつけはいけませんが、「こいつは絶対に悪い奴だな」と微笑んでしまうのが、探偵ものドラマが好きな人の習性です。
そして、悪い奴がしっかり右京さんにこらしめられるシーンで、私たちは安心と快感に浸ります。
見終わった後にインターネットやSNSで、または次の日の学校や職場で、共通の話題として「相棒」を振り返る時、「おもしろかったねー!」と会話がはずむのは、話し相手と自分が共通の安心や快感を得たから、という場合が多いのではないでしょうか。
時代劇やアニメの「アンパンマン」などのわかりやすい勧善懲悪物語にお約束があるのと同様に、探偵ものドラマにもお約束パターンがあります。
「2サス」の場合、1話が2時間ほどあるので、よほど中身の濃い話でなければ、視聴者が途中で離脱してしまいます。
では、2時間サスペンスを「54分間」の「相棒」に凝縮したら…
そりゃもう、面白くて、あっという間に終わります。

 

「野心」と「安心」は紙一重

今回の「ジョーカー」と前回の「半巾(ハンケチ)」は、浜田秀哉さんが脚本を担当しています。
浜田さんは「相棒」では「半巾(ハンケチ)」がデビュー作なので、いきなりの2話連続は、制作サイドの自信の表れでもあるのだと推測できます。
「相棒」は脚本家が毎回違うのが魅力ですが、視聴者にとっては、毎回が「相棒」です。
脚本家に関係なく「今回が面白かったから次回も見る」とか「今回がつまらなかったから次回は見ない」などの評価基準が、視聴率に影響する場合があります。
私が2作品を見て真っ先に感じたのは「この脚本家さんは、相棒と2サスがめちゃくちゃ好きなんだろうな」という安心です。
「相棒」の制作側のコンセプトの1つに「常に新しいものを求めていく」という野心があります。
ただし「野心」と「安心」は紙一重で、視聴者は「相棒」が描く新しい野心に共鳴すれば次の野心を期待するし、裏切られたと思うと距離を置いてしまいます。
「相棒」の視聴者側からの魅力は、予想できない展開や真相の解明と同時に、そこに描かれる人々の丁寧な心理描写です。
感情移入できるか、できないか。

浜田脚本は2週連続でたっぷり感情移入できました。

 

悪い政治家に右京さんが激オコ

元刑事の妻は、自分が担当していた仕事で、不正を発見しました。
不正を正そうとして、顧問弁護士に詰め寄りました。

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顧問弁護士は、妻の父親である大物政治家に手を回して、不正をもみ消そうとしました。
刑事の妻は、正義を失いませんでした。
しかし、政治家である父に脅迫されてしまいました。
圧力に勝てず、自分が貫いた正義を折り曲げてしまう道を選んで。
彼女は、そんな自分が許せませんでした。
「ザ・2サス」です。
右京さんは、最後まで自分勝手な父親を一喝します。
「自己本位と大義をすり替えないでもらいたい!」
娘の命を奪って守る正義など、この世にないと。
右京さんは「人は犯した罪を法で裁かれなければならない」という信念を貫いています。
しかし、あまりにも自分勝手な奴には、しっかりと怒りをぶつけます。
右京さんの正義は、法の下の正義だけでは語りつくせない「愛」があることを、私たちは嬉しく思うのです。

 

9時54分の涙

前回も今回も、悪い奴がとことん悪い奴なのに、見終わったあとに「つい」スッキリしてしまうのは、脚本家の「うまさ」によるものです。
前回は、警察学校の教官である父親と、その背中を見て刑事になった娘の葛藤が、「視聴者の涙を誘う結末」へと導かれました。
今回は、妻を信じる夫と、夫を悲しませたくない妻の残酷なすれ違いが、「最後に視聴者を驚かせて涙を誘う結末」へと導かれました。
毎週水曜日の夜9時を楽しみにして「相棒」を見ている人が「今週も見てよかったなあ」と思うことができる9時54分。
初めて「相棒」を見た人が「相棒すげえ!」と鳥肌が立つ9時54分。
そしてまた、たくさんの人と次回の放送を楽しみにする時間を共有する幸福。

 

視聴者目線でキャラ説明

「ジョーカー」では、3つの対立軸が、短い時間に描かれていました。
特命係と悪い奴ら。
大河内さんと元刑事。
甲斐パパと衣笠副総監。
私たちは慣例から「特命係目線」「大河内目線」そして「甲斐パパ目線」でこの対立を見ています。
「どんな役でも石坂浩二は憎めない」という、甲斐パパに対する同情は役得です。
対立軸の中で、今回は大河内さんがクローズアップされる回となりました。
音声解説放送では、最後の出演者紹介で、「杉下右京=水谷豊」「冠城亘=反町隆史」の次に「大河内春樹=神保悟志」と紹介されたほどです。今回紹介されたのは、元刑事役の山田純大さんを含めた4人だけでした。
大河内さんが噛み砕いているのがラムネという話や、大河内さんが事件に大きく影響した過去回への言及。
前回は、鑑識課から警察学校の教官に移動した米沢さんが登場しました。
浜田脚本は「キャラの復習」と「新しく相棒を見始めた人への導入」、さらに「新たな肉づけ」を細部に取り入れています。
シリーズものに毎回、あるいはたまに登場するキャラクターを、その回ごとにわかりやすく説明していくのは「2サス」のお約束でもあります。
視聴者目線の脚本家から「相棒の世界が大好きで、さらに広げていくぞ」という意識を感じると、私たちは今後の「膨らみ」にワクワクします。

 

「相棒16」は、新しいものを「良い意味で」求めていくチャレンジが明確に伝わってきています。
たくさんの人と次回の放送への楽しみを共有する1週間になりそうです。

 

次回までの課題

さて、「相棒」を「人生の教科書」と位置づける自分への、次回放送までの課題。

 

今回のタイトルを「ジョーカー」にした作者の真意を考えよう。


きっと「特命係はジョーカー的存在」というわかりやすさは表面で、その奥に何かがあるはずさ。
そんなことないのかもしれないけど(^_^;)

 

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