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【相棒】17年前の衝撃事件!「平成の切り裂きジャック」を犯人浅倉側から考える。

 この記事では、ドラマ「相棒」シリーズに登場した「平成の切り裂きジャック」こと浅倉禄郎について考察しています。

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恐怖の切り裂き魔連続殺人!

2001年1月27日。
テレビ朝日系列で、ドラマ「相棒」の2作目となる「恐怖の切り裂き魔連続殺人!サイズの合わないスカートをはいた女の死体」が放送されました。
浅倉禄郎という検事が、東京都内で発生した連続殺人事件の犯人でした。
女性ばかりが狙われた連続殺人事件。都内で浅倉が殺害したのは6人。7人目の犠牲者が出る寸前で、右京さんと亀山くんが、浅倉を逮捕しました。
「平成の切り裂きジャック」を生瀬勝久さんが怪演したことで、この事件は多くの人の記憶に焼きついています。
浅倉という人物は何者なのか。
浅倉は、なぜ殺人鬼となり、次々に人の命を奪ってしまったのか。
この事件に触れた我々に与えられた教訓は何か。
今後に生かせることは、何か。

 

生瀬勝久さんの怪演

浅倉禄郎が殺害したのは、都内で起きた連続殺人事件の6人だけではありません。
彼の供述によると、幼い頃に自分の母親を殺しています。この事件は犯人が見つからず、浅倉の完全犯罪が成立してしまったようです。
その後、大学の法学部で亀山くんや、その恋人の美和子さんたちと同じ時間を過ごしました。
検事になった浅倉は、札幌地検に赴任している際に婚約者を亡くしています。交通事故として処理されたこの事件も、浅倉が手をかけたものでした。
以後、浅倉の赴任地でことごとく殺人事件が発生し、そのすべてがお宮入りしている事実が、右京さんの推理によって発覚しました。殺されたのがすべて女性であることも。
浅倉が何人を殺したのか、ドラマでは正確な数値が出てこないほど、彼は次から次に殺人を続けました。
テレビドラマの世界じゃなかったら、大惨事です。

 

右京さんが殺人鬼の心を解放した

浅倉が殺人鬼になってしまった原因は、彼が最初に殺害した、自らの母親にあるようです。
浅倉は語りました。
「ぼくの母もね、娼婦だったんたよ。ぼくは誰の子かもわからない子どもだった。ずいぶんいじめられたよ。ぼくは母を憎んだ。殺したいほどにね。そして、殺しちゃった」
誰の子かもわからない子ども。そのことでいじめられ。そこに憎しみが生まれて、母親を「殺しちゃった」。
浅倉が殺した女性は、みんな娼婦でした。
「女が身体を売る罪はとても重いんだよ」
「犯した罪は死をもって償うしかない」
かなりの偏見ですが、それが浅倉の善と悪を判断する基準になりました。
だからといって、浅倉が人を殺してよいとは、当然、なるはずがありません。
浅倉にブレーキをかけられる人はいませんでした。
誰にも言わなかったのか。
誰にも言えなかったのか。
婚約者を、事故に見せかけて死に追いやった話は、浅倉の犯行の用意周到さを感じます。
隠して隠して隠し続けて、娼婦を殺し続けました。
右京さんによって追いつめられた浅倉は、か細い声で呟きます。
「生きていれば、また殺します。生きている限り、おれはあいつらを殺すでしょう」
抜け殻になった殺人鬼に、右京さんは優しく声をかけます。
「心配しなくていい。もう終わりですよ。もう誰も殺すことはありません」
「ありがとう」
と涙を流す浅倉こそ、彼が心の底から待ち望んでいた「解放」だったのではないでしょうか。
母親を殺してタガが外れてしまい、衝動を抑えきれなくなった殺人鬼は、捕まることでようやく自由になれました。

 

亀山くんに協力した浅倉

しかし、浅倉がいくら涙を流して右京さんに感謝してたところで、その罪が情状酌量につながるはずもなく、彼は死刑判決を受けます。
自分が、殺す側から、殺される側に立場が変わりました。

朝倉は、拘置所でどんなことを考えながら、日々を過ごしていたのか。

「相棒1」の「小さな目撃者」。殺人事件を起こしても居直る小学生を更生させようと、亀山くんは小学生を、拘置所の浅倉禄郎のもとに連れて行きます。

「わかるよ。きみも何か悪いことをしたんだね。ぼくもね、子どもの頃、人を殺したんだ。完全犯罪だった。誰にも見つからなかったよ。きみと同じように頭がよかったからね。だけど、今はこのとおりだ」

と、浅倉は両手をつなぐ鎖を少年に見せました。
浅倉は「相棒2」の第2話で、刑務所から脱走し、
「俺の命は俺のものだ。自分の自由にする」
とメモを残して、断崖から飛び降りました。

それでも死ななかった浅倉。神様が浅倉に、しっかり罪を償いなさいと諭しているかのように。

 

戦争ともテロとも違う不安

もし浅倉の前に右京さんが現れなかったら、浅倉は自身の発言どおりに、新たな犠牲者を選び、行為に及んだことでしょう。
この記事を作成している2017年11月末は、10月末に発覚した座間市死体遺棄事件から1か月が経過したところです。
容疑者は、9人もの命を2か月の間に奪ったと自供しているようです。
容疑者の自宅には、10人目の犠牲者用の準備がすでにされていた、という報道もあります。
あってはならない事件です。
しかし、「まさか」が起きてしまうのが現代社会です。
戦争やテロを断固として拒否する姿勢を維持するとともに、戦争でもテロでもない「何か」に、恐怖や不安をあおられます。

 

「相棒」を見て未来を想像する

他人の心と、未来の出来事についてはわかることができない人間が、不安や恐怖と戦うには何が必要なのか。私たちには、想像する力があります。「相棒」というフィクションのドラマから、学べることがたくさんあります。

一人ひとりが自分を取り締まる右京さんとなって、自己中心的ではない正義や愛を意識して生きていくことが求められています。
浅倉禄郎は、自分の殺人衝動を止めてくれた右京さんを信頼して、「相棒2」第1話では、自分と同じ臭いがする殺人鬼の存在を教え、新たな犯行を抑止しようとしました。
心を許すのは簡単なことではありません。
しかし、浅倉が閉じこめていた良心を、右京さんは引き出しました。
右京さんは「人は犯した罪を裁かれなければならない」という信念を貫いています。
同時に、人の純粋な「愛」と真剣に向き合っています。
浅倉禄郎は、右京さんの心を動かし、右京さんによって心を動かされたからこそ、多くの視聴者の記憶に残る人物となったのではないでしょうか。
生瀬勝久さんの怪演と、水谷豊さんのクールな演技、そして視聴者の感情に訴えかける寺脇康文さんによる熱演の三角関係に、何度見ても新鮮な感動を与えられるのです。

 

(浅倉のセリフは朝日文庫「相棒」ノベライズシリーズより引用しました)

 

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