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【相棒プレシーズン第1作感想】もし第1作が無かったら。すべてはここから始まった!

ドラマ【相棒】シリーズが、2018年1月31日の放送で300回を迎えました。すごすぎる数字です。

第1作は2000年6月3日に土曜ワイド劇場で放送された「刑事が警官を殺した? 赤いドレスの女に誘惑され…死体に残る4-3の謎とは?」です。まだ20世紀です。まさか土曜ワイド劇場のほうが先に終了してしまうとは。

単発で放送された時点では、のちに21世紀前半を代表するバディもの刑事ドラマに成長するとは、誰も予測がつかなかったのではないでしょうか。

この記事では【相棒】シリーズ第1作目を改めて見直した感想などを記述しています。

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(↑第1作では伊丹刑事が右京さんの胸ぐらをつかむシーンも。 画像引用・テレビ朝日、東映)

人材の墓場が輝き始めた

警視庁捜査一課の刑事・亀山薫は、指名手配犯を捕まえようとして逆に人質になってしまうヘマをやらかして、特命係に左遷されました。

愛想のない上司の名は杉下右京。

亀山くんを指名手配犯から救ったのは「あれ以上グズグズしていたら、警察が犯人を狙撃してしまうから」という理由でした。

「いくら凶悪犯でも、きちんと裁判を受けて、法によって裁かれなければなりません。それが法治国家の原則です」

右京さんの正義についての信念は、1話目から300話に至るまでブレていません。

特命係は警視庁の陸の孤島。杉下右京は人材の墓場。下についた者はことごとく警視庁を去っていく。すでに6人が辞めていて、7人目が亀山くんです。

右京さんに「注意力が甚だしく欠如していますね。刑事としては致命的です」と言われてムッとする亀山くん。

「被害者と面識は?」

「ありませんよ!」

「そうですか」

「なんべん同じこと訊くんですか」

「そうやってすぐにカッとなるのもよくありませんね」

うわあああ。亀山くんのイライラは今にも爆発しそうです。

水谷豊と寺脇康文だからこそ

日本テレビ系列で放送されていた別の刑事ドラマシリーズで、水谷豊さんと寺脇康文さんは抜群の相性を見せてくれていました。

視聴者としては「土曜ワイド劇場」に場所を移した2人に、すでに安心をしている状態です。「この2人が相棒を組んだら、面白くないはずがない」と。

最初から高視聴率となったのもうなずけます。

それにしても、面白い。

それまでの水谷豊さんは、どちらかというと軽いノリの人物を演じることが多かったのですが、杉下右京は明らかに違います。

おとなしいのです。

右京さんの「静」と亀山くんの「動」の対比がはっきりしています。

「season7」の前半まで続く右京さんと亀山くんのストーリーの骨格は、第1作で土台がしっかりと築かれていました。

ストーリーは「2サスあるある」

最初に被害者をナイフで3度刺した人物がストーリーの途中で「私がやりました」と自白し、しかしその後に、まだ生きていた被害者に4度目を刺した人間がいた「2サスあるある」。
いわゆる「えー、この人が犯人だったのか!」パターンです。

ここから先は真犯人をバラしますので、「結末はわからないまま楽しみたい」というあなたは、ここから先は本編を見てから、またお会いしましょう(^_^;)

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(↑第1作ゲストの1人、甲本雅裕さんに女性のカツラをかぶせ、スリーパーホールドを決めながら耳元で一喝する右京さん。セリフ中の「彼」とは亀山くんのこと。翌日の場面で甲本さんは死体となって発見される。コントのような展開だった。 画像引用・テレビ朝日、東映)

「拳銃摘発の鬼」の異名をとる捜査一課の金子警部は、八百長で地位を獲得してきました。

早川というバーのマスターに必要なだけの拳銃を提供してもらい、見返りに早川の闇商売を黙認していました。学歴も何もない自分には、こうするしかなかったんだ…。

2人の関係を、不良警官の松原に見つかり、脅迫されます。

「あの晩」に、金子警部は小遣いを渡すために松原の自宅アパートに行きました。

部屋の中で、松原は包丁で刺されていました。ただし、まだ息がありました。

確実に、息の根を止めておいたほうがいい。憎いこの野郎を自分の手で殺したい。あああああ。

3度刺されていた松原は、4度目を刺されて、息絶えました。

部屋に痕跡は残していないはずだけれど、部屋に入るまでに誰かに見られているかもしれない。

不安になった金子警部は、早川に相談しました。

早川は後始末をしてくれました。

酔っ払ってバーに入ってきた一見の客を、松原の部屋に連れ込んで、犯人に仕立て上げました。

その酔っ払いが、金子警部の部下だった亀山薫巡査部長でした。

金子警部は、かつての後輩である杉下右京に追い詰められていきます。

プロデューサーの熱意

土曜ワイド劇場の単発ドラマとして視聴者を楽しませてくれると同時に、シリーズ化を見越して主要人物の設定を作りこみ、熟練のプロデューサーや脚本家、監督、出演者などが全力投球したら、そりゃあ素敵な作品ができあがります。

第1作目の骨格がしっかりしているからこそ、後に300話を超えるほどのロングヒットにつながりました。

 ノベライズ本【相棒・警視庁ふたりだけの特命係】(朝日文庫)の最後に、当時のチーフプロデューサーである松本基弘さんの「裏切りこそが《相棒》らしさ」という文章が掲載されています。

そこには、このドラマが主演・水谷豊、脚本・輿水泰弘、監督・和泉聖治のどのピースが欠けても成立しなかった「熱さ」が語られています。

また、寺脇康文さんに声をかけたら「じつは俺、豊さんにあこがれて俳優を目指したんです」と言われたことも。

現在でも「テレ朝の探偵ものドラマ好き」の我々の心を鷲づかみにする番組を生み出し続けている松本プロデューサーは

【普通に考えれば水谷豊と女性をコンビにしたほうが無難であることはわかる。土曜ワイド劇場としては当然リスキーな企画だ。でも、そのときは《いける!》という予感めいたものがあった】とか。【相棒】シリーズの原点は松本基弘にあり。

主人公はいつもゲスト

「死にに行かせるわけには、いきません!!」

「杉下右京個人なら、目をつぶります。このまま行かせます。生き恥をさらす先輩を見るのはつらいです。しかし、ぼくは刑事です。ですから、あなたを行かせるわけにはいきません。あなたが自分の手で自分の罪を裁くのを見過ごすわけにはいきません」

右京さんの静かな叫びに、何度見ても泣いてしまう第1作。

なぜ右京さんはそんなセリフを言わなければならなかったのか。

なぜ殺人事件は起きたのか。

以後のどの回でも、犯人側からドラマを見てしまう自分がいます。

誰かを殺してしまうほどの葛藤。あるいは、理解を超えた快楽殺人。生きることを最後の最後まであきらめなかったけれど、結局自殺に追い込まれてしまった人。

【相棒】に考えさせられるのは、毎回のゲストが背負っているストーリーです。ゆえに、この記事でも、第1作の感動を語る上で犯人のネタバレは避けて通れませんでした。

「被害者」の松原巡査は、裏では「善人の皮をかぶった悪魔」でした。出会った女性との性行為をビデオ撮影して個人で楽しむ変態。

今思えば、シリーズ300話には、何人もの「善人の皮をかぶった悪魔」が登場しました。

そいつらのせいでつらい人生を背負わされることになった人もたくさん。

300話目は、準レギュラーとなった警視庁広報課の社さんが、善人の皮をかぶった悪魔によって地獄に落とされる話でした。

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もう本当に何でもありなドラマ

右京さんは、あくまでも法の正義のもとに真相を捜し当てる人。

ドラマを見終わる頃には、いつも「事件は解決したぞ。あとは自分で考えろ」と問いかけられます。

第1作なくして300話は達成されず。

【相棒13最終回「ダークナイト」】から【相棒14】あたりでは正直、毎回のストーリーにスランプを感じていましたが、【相棒15最終回「悪魔の証明」】で、右京さんに一喝されました。

「想像が及ばないのなら、黙っていろ!」と。

どの回も、リアルタイムで面白い。再放送で見ても面白い。DVDで何度見ても面白い。たまに面白くない。

困ったら基本に戻れ。

亀山薫を途中で卒業させてしまうチャレンジャーな【相棒】。

生みの親のプロデューサーが異動になっても走り続ける【相棒】。

「裏切りこそが《相棒》らしさ」という壮大なブーメラン(?)

これからも、何度でも第1作を振り返ろうと思います。

すべては、ここから始まった!