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【相棒16-18「ロスト〜真相喪失」感想】もし妹の隠し事を察知してしまったら。

この記事では2018年2月28日に放送されたドラマ【相棒16「ロスト〜真相喪失」】の感想などを記述しています。最後泣いてしまった!

右京さんと中国語

今回は中国語での会話がストーリーの半分近くを占めました。中国語を通訳する日本の警察官の話です。

中国語がわかる人とそうでない人で、見方が大きく異なる回。わかる人には、最初から通訳捜査官が真相を隠そうとしていることが明かされています。中国語がわからない私のような視聴者は、何がどうなっているのかわかりません。

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この事件は、右京さんが中国語に詳しくないという前提がないと成立しない話です。右京さんは今回「シェイシェイ」ぐらいしか中国語を話していません。

「右京さんでも中国語はできないのか」と思って見ていた人は多いでしょう。

これには伏線があります。【相棒劇場版2】で、右京さんと当時の相棒・神戸くんが、中国の怖いお兄さんたちに囲まれてしまった時。

神戸くんが「中国語、わかります?」と訊くと「挨拶ぐらいは」と右京さん。右京さんが話せる中国語は挨拶程度。だからこそ成立したのが今回の「ロスト〜真相喪失」です。

視聴者が2視点に分かれる

【相棒】には、あらかじめ犯人がわかっていて、右京さんが推理力で犯人を追い詰めていくパターンのストーリーがあります。初期から中期の大物ゲスト回に多く設定された展開です。右京さんとゲストの心理戦。

中国語がわかる人には(おそらく)通訳警察官が真相を隠そうとしているのが最初からわかっている。ならば、右京さんがその警察官をどうやって陥落させていくのか。

一方で、中国語がわからない人は、右京さんと同じ立場です。飛び交う中国語についていけません。通訳警察官の言葉での心理戦はよくわからないけれど、なんだかこの人、怪しそう。通訳警察官は犯人を知っているのではないか。あるいは、彼が犯人なのではないか。

中国語がわかる人には、彼が追い詰められていく過程はわかるのだけれど、なぜ真相を潰そうとしているのかはわからない。

中国語がわかるわからないに関わらず楽しめる作品です。

2億5000万と殺人

警視庁通訳センターの西村は、ATMから2億5000万円が不正に引き出された事件に関わることになりました。「出し子」と呼ばれる現金引き出し役の中国人容疑者・王東明らを取り調べるためです。

西村は口を割らない王に「じつは自分も同じ郷里なんだ」と世間話をしました。王は西村の母親を知っていました。

西村の母親は中国で、日本で労働する中国人を世話をして、多くの人から慕われていると。再婚して女の子を産み、女の子は今、日本で働いていると。

そして。

妹が働いている「濱口ライテック株式会社」の社長が何者かに殺されました。殺害現場の給湯室には、妹が隠れていたらしい。

西村は、事件を捜査する刑事たちと妹の通訳をする係になりました。捜査関係者の中に中国語が堪能な刑事はいないようだ。ならば。

西村は妹に「質問には答えなくていい。自分は何も知らないと言い続けろ」と指示します。

池上純哉脚本の「ほろ苦」

今回の脚本担当は池上純哉さん。池上さんの作品には「ほろ苦」があふれています。土曜ワイド劇場などの2サス。「遺留捜査」などの刑事ドラマ。【相棒】でのこれまでの作品。連続殺人事件などのエグい展開なのに、最後にはホロッとさせられてしまいます。

事件に関わってしまったゲスト登場人物の「良心」をあぶり出してきます。

「ロスト〜真相喪失」では、妹を思うがゆえに暴走してしまう兄が描き出されました。刑事ドラマで兄妹の人情物って、ありふれたストーリーなのに。

妹は重大な犯罪に関わっている。隠さなければ。妹を無事に中国に帰してやりたい。どうすれば。

西村欣也と雨欣(ユーシン)。「欣」という文字には喜びや幸福のメッセージが込められているのに、今は兄妹で素性すら名乗れない。

本当はこんなこと望んでないのに。妹のために。中国にいる母のために。

池上さんの脚本が訴えてくるせつなさ。

泣ける「刑事ドラマあるある」満載

濱口社長を殺害した真犯人が捕まりました。濱口ライテック株式会社はヤミ金に手を出すほど借金まみれ。社員への給与未払いもあります。濱口は不正引き出し事件で大金を手にしましたが、社員に未払いの賃金を払う気はさらさらありませんでした。

自分さえよければいい濱口に逆上して、ある社員が社長を殴りました。濱口は死んでしまいました。一発しっかり殴ると死んでしまう「刑事ドラマあるある」です。でも完全には息絶えないで通報ボタンを押してから死ぬ「刑事ドラマあるある」です。

悪い奴が殺されて、悪くない人が犯人になって悪い立場になってしまう「刑事ドラマあるある」です。自首してください。

「濱口から奪った金は未払いの給料にあてるんだ!」

捕まった真犯人は「やや」お涙ちょうだいなセリフを叫んでいましたが、まあ、そんなお金をもらっても喜べる人はいないんじゃないかな。

いや。

喜ぶ人がいるのかもしれない。

今回登場した中国人はみんな根が優しい人ばかりです。

しかし、汗水流して働いたあげくに給料未払いでは、生きることに困ってしまう人も少なくありません。

そういう人が少なからずいるのではないだろうか。

という「他人を思いやる気持ち」が「隠ぺい」につながってしまう。口に出して心を確認しあうことができないから、自分の中だけで葛藤して、嘘を重ねてしまいます。

そんな妹の葛藤を察知した兄が、真実を喪失させようとした、という話。

何が正しいのか、何が正しくないのか。【相棒】をずーっと見続けている人も、今回初めて【相棒】を見たという人も「あの時どうすればよかったのか」がわかりやすく伝わるストーリーでした。

エンドロール時。兄は語ります。妹は何も言わずに帰国してしまったけれど、母からは電話があって「ありがとう」って…

泣いてまうやないかーい!

池上脚本と橋本一監督、そして通訳警察官役の矢野浩二さん、マジ最強! 

大切な人に「ありがとう」って言われて。その人は自分に「欣」という字をつけてくれた人で。

 

【相棒16第18話「ロスト〜真相喪失」】

出演=水谷豊、反町隆史、森迫永依 矢野浩二ほか

脚本=池上純哉 監督=橋本一

《次回は↓》

【相棒16第19話「少年A」感想】もし自分が戸籍の無い少年だったら - せとさんスポーツ

《前回は↓》

【相棒16第17話「騙し討ち」感想】もし刑事ドラマが警察内部のリアルだったら。 - せとさんスポーツ