ポカポカと晴れた休日の午後、近所の小学生が『だるまさんがころんだ』をやっていました。
「だるころ」の呪文の謎
微笑ましい光景だな、と思いつつ、はて、なんでこの遊びには『だるまさんがころんだ』というセリフが使用されているのだろう?と思って、さっそくウィキってみました。便利な世の中ですね。
どうやら『だるまさんがころんだ』の由来ははっきりしていないようなのですが、いくら転んでも起き上がるダルマのイメージから、誰かが
『だるまさんだって、誰もみていないところで寝転んでいただろう』
と着想したことから、このセリフが使われるようになったのだそうです。
え?
それは、夜、みんなが寝静まった頃に、誰もみていないところで髪が伸びる日本人形みたいな発想ですか?
ホラーだ!
『だるまさんがころんだ』というセリフは、「鬼」が10文字をしゃべるための「呪文」なんだそうです。
鬼退治にくる人たちを動けなくするための「呪文」が『だるまさんがころんだ』だったのです。
呪文って、ドラクエとかラーメン二郎の世界ぐらいでしか使われていないと思ったら、子どもの無邪気な遊びにまで侵入していたんですね。
捕まったら呼吸もしてはいけない
『だるまさんがころんだ』と言って鬼がふりむいたら、参加者は呼吸やまばたき以外の動作を封じられてしまいます。
もしこのまま、鬼が次の『だるまさんがころんだ』を言わなかったら、その場で静止している子どもたちは、いつまでも静止していなければなりません。
少しでも動いてしまうと、「捕虜」として鬼に捕まってしまうのです。
ちなみに「呪文」を辞書で調べると「まじない・呪いの文句」と出ています。
鬼以外の『だるまさんがころんだ』の参加者は、何度も何度も鬼に呪われているのです!
次に「捕虜」を調べてみると「戦場で敵に捕らえられた人」とあります。
どうやら『だるまさんがころんだ』というのは、呪文をとなえる鬼と参加者による戦争のようです。
捕虜は捕まると、順番に手をつないでいき、まだ生存しているソルジャーが鬼の呪文をかいくぐって捕虜のもとにたどりつくと、捕虜は解放されます。
この動作を「手を切る」といいます。
「手を切る」を辞書で調べると、「関係を絶つ」と出ています。
『だるまさんがころんだ』は、どうやら呪文を唱える鬼とソルジャーの戦争であり、捕虜となったソルジャーをまだ戦場にいる仲間が助け出すことで、鬼役の子との人間関係を絶つきっかけとなる、こっくりさんもびっくりのサイコサスペンスだったのです。
『だるまさんがころんだ』という歌がNHK「みんなのうた」で流れたことがあるそうです。
この歌の作詞・作曲がなんと、プロ野球ファンなら知らない人はいない中日ドラゴンズの応援歌「燃えよドラゴンズ」でおなじみの山本正之さん!
竜の叫びを耳にしてナゴヤ球場に来てみたら、中日の選手たちが『だるまさんがころんだ』をやっていたのかもしれません。
ふと思ったのは、なぜ呪文が『だるまさんが転んだ』でなければいけないのか、という疑問です。
再びウィキってみると、『だるまさんがティッシュを配布した、などと言われ、行動をとりながら鬼の方向へ進んではいけない』とあります。
だるまさんがティッシュ配布するわけねーだろ、というツッコミもあるかもしれませんが、そのだるまさんの勤務先が消費者金融だったりしたら、新人のだるまさんがティッシュ配りをしていてもおかしくありません。いや、おかしいだろ絶対。
地域ルール「インディアンのふんどし」
日本ルールでは呪文は10文字と決まっているようで、地域により別の呪文もあるようです。
・近畿=坊さんがへをこいた
・関東=インディアンのふんどし
など、鬼役が女の子なら恥辱プレイとしか思えない、しょーもない呪文があります。
さらには「寿がきやのやきうどん」という、スポンサーが寿がきやとしか思えない呪文もあるようです。寿がきやといえば東海地区ですから、もしかしたら中日の選手たちはナゴヤ球場で「寿がきやのやきうどん」と叫んでいるのかもしれません。
ドラクエあたりのゲームで10文字の呪文を発見できなかったのですが、ハリー・ポッターの中に、10文字の呪文がありました。
「スペシアリス・レベリオ」
↓
(化けの皮、はがれよ!)
うららかな昼下がり、近所の子どもたちが「化けの皮、はがれよ!」という意味の呪文をとなえながら、敵をフリーズさせたり、鬼との関係を絶たせたりする戦争をしていると解釈すると、『だるまさんがころんだ』は、とんでもなく恐ろしいサバイバルゲームになってしまいます。
さっそく子どもたちに『今度からスペシアリス・レベリオって呪文にしてみなよ。なんかカッコいいでしょ』と教えてきましょうか。
言葉の意味を知っている人が聞いたら卒倒してしまいそうなので、『寿がきやのやきうどん』にしときましょうかヾ(^_^;
(この記事は2011年10月に自分のアメブロに掲載した文章を2017年10月に加筆修正したものです)
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