この記事ではドラマ【相棒8第13話「マジック」】の感想などを記述しています。
相棒やべえ!おもしれえ!
まず最初に。この回を見た直後の感想は「やべえ!おもしれえ!」でした。
「マジック」だけに、種明かしはせずに「本編を見てください」とおすすめしてこの記事を終わ…
なんて手抜きはせずに、感想と見どころをじっくり述べていきますね。
(画像引用・テレビ朝日・東映)
マジシャン役の中村有志さんが良い味出してるなあ、と思って見ていたら、最後は全部、あの受験生が持って行きましたねえ!
おっと、ここから先はネタバレが含まれる記述です。気をつけて!
神戸くんもすっかり特命係
右京さんの2代目相棒・神戸くんは、【相棒season7】の最終回スペシャルで登場しました。
右京さんとは距離を置いていた神戸くんですが、回数が進むごとに、右京さんとの信頼関係を深めていきます。
右京さんも、最初は「きみに亀山くんの代わりは務まりません」と突っぱねていましたが、しだいに神戸くんを相棒として受け入れるようになりました。
今回の第13話「マジック」を見ると、右京さんと神戸くん、さらに隣の部屋の角田課長を含めたトリオがコントをしているような場面が出てきます。
右京さんとその相棒がギスギスしているより、打ち解けているほうが安心するし、楽しく見ることができますね。
「マジック」はトリック、深い真相、楽しいシーンが凝縮されて、見終わった直後に「おもしれえ!」と声が出てしまう「相棒マジック」全開な作品です。
偶然?事件現場に右京さん
右京さんとたまきさんは、人気マジシャンのミスターアキこと秋川のマジックショーを観覧していました。
秋川の弟子である澤田が、本番中に照明用のブリッジから舞台に転落死します。
マジックショーが急きょ閉幕となった後、右京さんはさっそく現場検証を開始。
遺体の手のひらには3本の引っかき傷があり、傍らには蛍光を放つケミカルライトが落ちていました。
澤田は本名が田中であることが判明します。
秋川の自宅に居候していた田中。その部屋を調べると、スペードのエースが抜けているトランプと、ICレコーダーが隠されたボールペンが出てきます…
この話の脚本を担当したのはブラジリィー・アン・山田さんで、これが「相棒」初参加となりました。
山田さんは「世にも奇妙な物語」や映画の脚本も手がけています。「相棒9」の「死に過ぎた男」も山田さんの作品です。
冒頭、ミスターアキのマジックに感嘆したたまきさんは「どうなってるのかしら。右京さん、わかります?」と尋ねます。
右京さんの答えは「純粋に、見たままを楽しみましょう」
ミスターアキのマジックだけでなく、この回の「相棒」も、純粋に見たままを楽しもう、と肩の力を抜かせてくれます。このあたりは脚本家によるマジックなのかもしれません。
父への疑惑と信頼に揺れる
4年前。
中学生の秋川元は、塾の帰り道で、父親を見かけました。父親の後を追いかけていると、父は公園のゴミ袋に紙袋を捨てました。
元は気になって、ゴミ箱から紙袋を拾って、中を確かめてみました。スペードのエースだけが焼け焦げたトランプが1セット、入っていました。
父はなぜ、ここにトランプを捨てたのかなあ。
その後、元は、父親の弟子だった早見という男が事故で死んだことを知りました。その現場からはトランプが1セット、消えていたようです。
これはもう、中学生の元にしてみれば、父親に疑いを持たざるを得ないですよね。
父は本当は事故現場にいたのかもしれない。現場にいたのなら、なぜいたと証言しないのだろうか、と。
元は、疑問を父にぶつけることはできず、日記にしたためていました。
その日記を、弟子として居候し始めた田中に見られてしまい、田中は父を脅し始めました。
父への疑惑なのか、自分の罪悪感なのか、少年が抑えようのない不安にまみれてしまったことが、容易に想像できます。
そんな父は、自分をマジシャンにさせるのはまだ早いと言い続けていました。
マジシャンの道ではなく、大学を受験するように勧めました。
母は、手先が器用な自分を早くマジシャンデビューさせたいようです。
両親が不仲なことぐらい、わかってるさ。
父は自分をマジシャンにさせたくないらしい。自分がナンバーワンでありたい自尊心のために。
それでもいい。
ぼくがいちばん好きなのは、ミスターアキのマジックなのだから!
今回の事件を、秋川元の心に沿って時系列で組み立ててみると、少年から青年へと変わる時期の葛藤を想像して、涙をこらえきれません。
もし現場に右京さんが居合わせなくて、事件の真相が明らかにならなかったら、彼の未来への一歩は先延ばしになってしまったかもしれません。
騙し騙され自分を騙す
マジックは、よく「だます」「だまされる」という表現を使います。人の心理の盲点をつくのが、マジックのだいご味であると。
しかし、マジシャンがマジックの使い方を間違えると、場合によっては、自分が張ったクモの巣に引っかかって抜け出せなくなってしまうという怖さを教えてくれる話になりました。
壊れてしまった家族関係は、どの程度修復できるものなのでしょうか。
少年が、これからどのように立ち直り、自分の人生を歩んでいくのか、想像してみます。
父を超えるマジシャンになるのかなあ。
「相棒」は、頑張る若者を温かく励ましてくれます。
この回を視聴した自分が「相棒すげえ!」と思い、「さあ、次は自分が頑張る番だ」と次の一歩を踏み出せたなら、後で振り返って「あの時の相棒マジックはすごかったなあ」と、改めて思うことでしょう。
それにしても、ドラマの中でいくつも披露されたミスターアキのマジックの種を見破ることができません。
純粋に、見たままを楽しみましょうか(^_^;)