この記事では2018年10月17日に放送されたテレビドラマ【相棒17第1話「ボディ」】の感想などを述べています。
17シーズン目のスタートは
青木年男が特命係に島流しになったところで終了した【相棒16】から半年。
いよいよ【相棒17】がスタートしました。
【相棒】シリーズの始まりは2000年6月の土曜ワイド劇場ですから、20年近くにわたり続いていることになります。
長いシリーズがマンネリ化しない最大の要因は、右京さんの相棒となる「主役のひとり」が卒業してしまうほどの「なんでもあり」な点と言えるでしょう。
最初の相棒である、寺脇康文さん演じる亀山薫。初期の【相棒】は熱血漢の「薫ちゃん」と冷血漢の右京さんが対照的に描かれることで人気を呼びました。
視聴者どころか右京さんにまで「君は亀山くんの代わりにはなれません」と言われた及川光博さん演じる神戸尊。神戸くんが想像以上に新風を吹き込み、水谷豊さんは【相棒】について「ゾーンに入った」と形容しました。
右京さんのスカウトで特命係に配属された成宮寛貴さん演じる甲斐享は、右京さんと接することでヤンチャな性格から成長していく様子がファンの心をつかみました。
【相棒14】からは現在の右京さんの相棒である、反町隆史さん演じる冠城亘が登場。ひょうひょうとしたキャラクターは、回を重ねるごとに右京さんとの絆を揺るぎないものに昇華させています。
神戸くん、カイトくんがシリーズを3期で卒業したため【相棒16】では3期目となった冠城くんの去就が心配されましたが、4シーズン目にも特命係の一員として活躍してくれるようです。
右京さんと冠城くん、そして青木の特命係3人体制で始まった【相棒17】。第1話は、視聴者にあらかじめ犯人をバラしておいて、右京さんたちが追いつめていく展開となりました。
視聴者は犯人を知っている
【相棒】シリーズでいえば【相棒3第14話「殺しのピアノ」】など、初期の頃によく見られた、犯人が明かされているパターンの話。「殺しのピアノ」では吹越満さん演じる幸田がドラマの冒頭で柴幸太郎を殺害し、右京さんたちに徐々に追い詰められていきました。
「ボディ」は、国家公安委員を務める大学教授の三上冨貴江(とよた真帆さん)に、夫の鬼束鋼太郎(利重剛さん)が「父を殺した」と告白する場面から始まります。
鋼太郎は父の鐵太郎を、冨貴江のために殺したと主張します。冨貴江は、自分の社会的立場を守るために、事件の隠ぺいに加担します。
鐵太郎の妻は、40歳以上も年齢の差がある祥(谷村美月さん)。
祥は、鐵太郎がいなくなり自由になったお金で豪勢に遊び回ります。このくだりは、何となく【相棒4第1話「閣下の城」】で北条晴臣閣下(長門裕之さん)を篭絡した悪魔の郷内繭子(高橋かおりさん)を連想させられます。過去回を懐かしく思い出しながらストーリーを追いかけました。
情けない犯人をコミカルに
「ボディ」が面白いのは、犯人側の冨貴江、鋼太郎、祥のやりとりがコミカルに描かれる点。役者さんの力量にうならされます。シリアスな名作揃いとなった【相棒16】とは作風が違う新鮮味です。
ちょっと情けない犯人を右京さんが容赦なく追いつめていくという、わかりやすい設定とストーリーは、今回から初めて【相棒】を見る視聴者を優しく受け入れてくれます。
さて、右京さんと冠城くんは、どうやって鋼太郎たちを追いつめるのか。
豪華な邸宅の離れに建てられた縄文土器のコレクションルームの床下に鐵太郎の死体が埋められていると見た右京さんは、自らのクビを賭けて捜査令状を取り、警察はコレクションルームを取り壊します。
しかし、死体はどこにもない!
え? 推理が呆気なくハズれて、右京さんがクビになって退場しちゃうのか? と、気をもんだところで第1話は終了。最後に「つづく」とテロップが出て、結論は第2話に持ち越しとなりました。
どうなる第2話
【相棒16】でも、第1話「検察捜査」は第2話へと続く前後編ものでした。「検察捜査」では、殺人犯の平井(中村俊介さん)に対して右京さんが「あなたが無実になるのは、我慢できません!」と挑戦状を叩きつけました。【相棒2第1話「ロンドンからの帰還 ベラドンナの赤い罠」】で右京さんが小暮ひとみ(須藤理彩さん)に「売られたケンカは買いますよ。そして、必ず勝ちます」と宣言して第2話につなげた時のような迫力がありました。
「ボディ」のラストでは、遺体が発見されなかった邸宅を後にする右京さんは、何も語りませんでした。沈黙が不気味です。
【相棒】シリーズの2話連続ものは、前編で撒かれた伏線がきれいに回収される感動作もあれば、前編で風呂敷を広げすぎて後編で尻すぼみになる、ちょっと残念な話もあります。ちょっと不安はあるものの、右京さんたちがどんな反撃をして犯人を追いつめるのか、楽しみにしておきます。
ブレない右京さんを楽しもう
主演の水谷豊さんが60代後半の年齢にさしかかり、【相棒】シリーズもどこかで区切りをつけなければいけないのかもしれません。何が起きてもおかしくない【相棒】は、水谷豊さんもスタッフの皆さんも、毎回「いつ終わってもおかしくない」緊張感を持って取り組んでいるそうです。
前シリーズまでと同様に【相棒17】がラストシーズンになるかも、という危機感は抱いておきつつ、まだまだ終わらないことを信じます。
【相棒】は考えるための教科書。
右京さんの「人は犯した罪を法で裁かれなければならない」という信念は、人が善く生きるためにはどうしたらよいのかを、常に問い続けてくれているのです。
【相棒17第1話「ボディ」】
2018年10月17日放送
脚本=輿水泰弘
監督=橋本一
《次回は↓》
【相棒17第2話「ボディ〜二重の罠」感想】もし殺人犯の自分が右京さんと出会ってしまったら。 - せとさんスポーツ
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