【相棒】は、テレビ朝日・東映の制作で放送されている21世紀を代表するテレビドラマシリーズです。
主人公は、水谷豊さん演じる杉下右京警部とその相棒。亀山薫から神戸尊、甲斐享と続いて、現在の相棒は反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)です。たった2人の警視庁特命係が難事件を解決します。
2019年10月からは18シーズン目がスタート。冠城亘は【相棒14】での登場以来、5シーズン目となりました。
この記事では【相棒18】全話終了時点で「今シリーズの最高傑作」に挙げる人も多い【相棒18第3話「少女」】の、ネタバレを含めた感想などをまとめています。
(画像引用=テレビ朝日)
主な出演者・スタッフ
作品タイトル
【相棒18第3話「少女」】2019年10月23日放送
出演
杉下右京=水谷豊=警視庁特命係係長。警部。
冠城亘=反町隆史=警視庁特命係。巡査。
伊丹憲一=川原和久=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。
芹沢慶二=山中崇史=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。
角田六郎=山西惇=警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課長。警視。
青木年男=浅利陽介=警視庁サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官。
益子桑栄=田中隆三=警視庁刑事部鑑識課。巡査部長。
☆
秦野明菜=大島美優
島村裕之=三浦誠己
ほか
スタッフ
エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真道
脚本=神森万里江
音楽=池頼広
監督=権野元
ほか
【どんな話?】
益子(田中隆三)から飼い猫の捜索を依頼された右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、郊外の一角で無事に猫を保護。後日、益子と連れ立って、保護に協力してくれた小学生・明菜(大島美優)に礼を言うためマンションを訪れる。すると、隣室で殺人事件が起き、偶然居合わせた明菜が連れ去られてしまったことが分かる。容疑者は、島村(三浦誠己)という警備員の男。動機は、恋人を卑劣な手段で自死に追い込んだ被害者男性への恨みと推察された。右京と亘は、島村が明菜に危害を加えるのではないかと捜査に乗り出す。すると、島村の恋人の自死をめぐって、意外な事実が浮かび上がってきて…!?(引用=テレビ朝日)
【その後どうなった?(完全ネタバレ注意)】
明菜は島村の逃走を助けながら行動を共にする。島村は、恋人が死んでから時間が止まってしまっていて、復讐のために男を刺したと語る。明菜は妹が母親に殺されたと話した。
島村が現場から逃走したのは、刺した男の共犯者である小田切を殺しに行くためだった。
島村は小田切を襲うが、逆に小田切に殺されそうになる。明菜は島村を助けようとするが、小田切に見つかり追い詰められる。そこに冠城くんと右京さんが現れて、島村と明菜は救出された。
自宅に戻った明菜は、深夜に家出しようとするが、玄関の扉の向こうに右京さんたちがいて、部屋に戻される。
明菜は、大人である母親への復讐は難しいため、自分が死んで妹のところへ行こうとしていた。
母が妹を殺したというのは明菜の勘違いだった。妹が死ぬ前に明菜についた小さな嘘が原因だった。
右京さんに生きることの大切さを教えられ、明菜は号泣した。
島村が刺した男にトドメを刺したのは小田切で、島村は殺人犯ではなかった。
島村の病室に明菜が訪れ、それぞれの時間が再び動き出したことを確認して、2人は別れた。
感想など(ネタバレ)
【相棒】では、子供や若者がストーリーの主人公になる回のほとんどに、未来に希望を抱かせてくれるラストが待ち受けています。
【相棒18第3話「少女」】は、作品タイトルから期待された通りの、泣ける感動回となりました。
「復讐」で意気投合?
本編45分のうち最初の3分の1程度はスピーディーな展開で、右京さんや冠城くんと少女が猫を介して知り合う点、殺人事件の概要、男を刺した犯人が少女を連れて逃走する模様などが描かれます。
島村は男を刺した理由を明菜に語り、明菜は母が妹を殺したと話します。
2人に共通しているのは、大切な人が死んでから時間が止まっていること。復讐して死者の恨みを晴らすこと。
中盤では、島村の復讐を完遂するために、2人は最も危険な場所に向かいます。
そして、窮地に陥った2人を右京さんたちが救出する…
感動ストーリーの王道といえる展開です。視聴者からすれば、ベタな展開なのにハラハラドキドキさせられます。
希望の終盤
終盤に【相棒】の真骨頂が待っています。右京さんは、明菜の母親が妹を殺したのは勘違いであることを明菜に説明し、諭します。
「妹さんは限りある命を一生懸命、生きました。ですから、君も生きてください。妹さんの分もね。生きてください」
このセリフに心を動かされた明菜が号泣し、視聴者も涙を誘われます。
一方で、病床の島村も、自分が復讐を企てたことを悔いています。
復讐なんかしても、気持ちは晴れないこと。人を殺しても後悔と虚しさしか残らないこと。
ついてない女を思い出す
島村には、刺した相手の息の根を止めた人物が別にいることが知らされました。島村は殺人犯ではなく、殺人未遂犯になりました。
【相棒4「ついてない女」】では鈴木杏樹さん演じる月本幸子が男に拳銃で復讐し、逃亡に失敗して右京さんに逮捕されますが、最後に殺人犯ではなく殺人未遂犯であったことが判明します。「ついてない女」が少しだけ「ついている女」になった感動を思い出しました。幸子さんも島村も、人を殺していない分だけ罪が軽くなったことにホッとさせられます。
しかし、人を殺しかけたことは重大な犯罪です。右京さんと出会って良心を取り戻した幸子さんのように、島村が復讐に意味が無いことを噛みしめたことに希望があります。
島村の良心が右京さんと冠城くんに伝わったからこそ、最後に明菜と面会することが許されたのでしょう。
存在し続ける悪意
このストーリーでは、明菜と島村の心の移ろいが描かれる一方で、悪がわかりやすく表現されています。
島村が刺した男と、その男の息の根を止めた男は、共謀して悪事を働いていました。
女性のトイレを盗撮したり、部屋に連れ込んで性的暴行するところを撮影したりして、脅迫を繰り返すどうしようもない奴らです。
島村の恋人は、男たちに襲われたことが原因で、自ら命を絶ちました。
【相棒】の原点である2000年放送の「プレシーズン1」で最初に殺された警察官も、女性との性行為をビデオに収めて脅迫していました。
約20年の歳月を経ても、悪いヤツが自分より弱い存在を狙って欲を満たす犯罪が変わらず存在します。
今後も変わらないのかもしれません。
しかし、悪い奴らが【相棒】を視聴して、右京さんの正義と人間愛に触れたら、少しは社会が変わるような気がします。
《関連記事》
【相棒18第1話&2話「アレスの進撃」】ネタバレあり感想!船越英一郎が魅せる父と娘の哀しい物語
鑑識・益子桑栄の事件簿
レギュラーキャラクターについては、この回では鑑識課の益子桑栄(ましこそうえい)がクローズアップされました。
益子さんは【相棒15「守護神」】で初登場しました。【相棒】の鑑識員といえば米沢守さんのイメージが強いだけに目立ちませんが、釣りと猫が大好きな益子さんはこのドラマに欠かせない存在です。
今回は益子さんのめっちゃ可愛い飼い猫「益子メイ」が行方不明になって、特命係の2人に捜索を頼んだところから話が始まったのでした。
周囲が敵ばかりの特命係にとっては、益子さんは数少ない味方になるかも?
今後の「鑑識・益子桑栄の事件簿」を楽しみにしたいと思います。
声に出して読みたい右京さんの名言
「明菜ちゃん。もう自分を許してあげなさい。妹さんの命を守れなかったのは君のせいじゃありませんよ。たとえどんなに苦しくても自分から死ぬのは間違っています。妹さんは限りある命を一生懸命生きました。ですから君も生きてください。妹さんの分もね。生きてください…」
視聴は動画配信サービスなら初回無料あり
【相棒】はテレビの再放送や、ネットの動画配信サービス、DVD、Blu-rayなどで視聴できます。
視聴したい回が決まっている場合は【TELASA】や【U-NEXT】などの動画配信サービスが便利です。初回無料サービス期間があるので、お金をかけずに【相棒】を楽しめます。
テレビ朝日が運営する動画配信サービス【TELASA】は初回30日間無料でテレビシリーズのプレシーズンから【相棒18】まで全話を視聴することができます。
《関連記事》