光る風の少年はどこへ

2020年はドラマ「相棒」関連の記事が中心です。タイトルは「相棒」のシーズン1に登場した絵画「光る風の少年」から。

【相棒18-4「声なき声」】ネタバレあり感想…ジャーナリストの魂に14年前の「あの回」を思い出す!

【相棒】は、テレビ朝日・東映の制作で放送されている21世紀を代表するテレビドラマシリーズです。


主人公は、水谷豊さん演じる杉下右京警部とその相棒。現在の相棒は反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)です。たった2人の警視庁特命係が難事件を解決します。

 

2019年10月からは18シーズン目がスタート。冠城亘は【相棒14】での登場以来、5シーズン目となりました。

 

この記事ではジャーナリストの葛藤を描く社会派傑作となった【相棒18】の第4話「声なき声」のネタバレを含めた感想などをまとめています。

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主な出演者・スタッフ

【相棒18第4話「声なき声」

2019年10月30日放送

出演

杉下右京=水谷豊=警視庁特命係係長。警部。

冠城亘=反町隆史=警視庁特命係。巡査。

伊丹憲一=川原和久=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

芹沢慶二=山中崇史=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

角田六郎=山西惇=警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課長。警視。

青木年男=浅利陽介=警視庁サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官。

益子桑栄=田中隆三=警視庁刑事部鑑識課。巡査部長。

風間楓子=芦名星=『週刊フォトス』記者。

内村完爾=片桐竜次=警視庁刑事部長。警視長。

中園照生=小野了=警視庁刑事部参事官。警視正。

中川敬一郎=長谷川朝晴

西嶋隆哉=佐々木一平

立花典子=クノ真季子

松下涼介=井上康

片桐晃一=山本圭祐

ほか

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真道

脚本=児玉頼子

音楽=池頼広

監督=権野元

ほか

どんな話?

厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班、通称“かとく”の職員が転落死体で発見された。かとくのメンバーは、特別司法警察職員として違法な事業所を検察庁に送検する権限があるため、口封じに殺された可能性も考えられた。捜査に乗り出した右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、現場の野次馬の中に、真実を伝えるジャーナリストとして名を馳せている中川(長谷川朝晴)がいるのを見つける。中川が、亡くなったかとくの職員と面識があることに不穏な空気を感じた二人は、中川と古い知り合いだという『週刊フォトス』記者・風間楓子(芦名星)に話を聞く。すると、中川が最近、遊具による児童の死亡事故を取材していたことが分かる。かとく職員の転落死と児童の死亡事故。一見接点がなさそうなふたつの事件だが、右京と亘がそれぞれの視点から捜査を進めると、意外な繋がりが見えてくる。(引用=テレビ朝日)

その後どうなった?(ネタバレ注意)

児童の死亡事故を招いたヤクトー工業は、ベトナムから来た技能実習生を時給300円ほどで過重労働させていた。

 

ヤクトー工業の社長は厚労省族の議員である松下とつながっていた。松下は違法な政治献金などの私利私欲のために技能実習制度の悪用に目を瞑っていた。

 

工員のひとりが死亡事故後に自殺していたが、所轄署はホームシックでの自殺と処理した。しかし、工員は遺書を「かとく」の片桐に渡していた。

 

一方、片桐を殺害した犯人として中川の後輩の西嶋が連行された。西嶋は犯行現場から片桐の靴を持ち去っていて、捨てるところが防犯カメラに映されていた。

 

片桐の死の真相は…

 

中川は、工員の遺書を入手するために、ビルの屋上に片桐を呼び出した。

 

片桐は、松下に圧力をかけられている上司の立花を守るため、最初は遺書の受け渡しを拒否していたが「明日の朝もう一度この場所に来て渡す」と約束した。

 

中川が去ったあと、片桐は飛び降りて自殺した。

 

西嶋は中川と片桐のやり取りの一部始終と、片桐が飛び降りる様子を目撃していて、片桐が自殺とわかれば中川が記事にしないのではないかと考えた。そこで、片桐の靴を持ち去って、殺人事件に見せかけようとした。

 

中川は、この件を記事にはしなかった。片桐を追い詰めたのは自分だと贖罪の気持ちを抱き、事実の公表をやめてしまった。

 

右京さんは、真実を公表するべきだったと中川に伝えた。

 

松下は不正献金の隠蔽や「かとく」への圧力などの問題で記者に囲まれた。ヤクトー工業には裁判令状が突きつけられた。

 

風間楓子は『週刊フォトス』で、松下涼介の汚職疑惑と過重労働を隠蔽していた件について記事にした。

 

中川はジャーナリズムの世界から足を洗うことを決意した。

 

その最後の介錯となったのは、楓子による「中川氏、ジャーナリストとしての責任放棄」という記事だった。

ここから感想など(ネタバレ)

表立って声をあげられない弱者などの「声なき声」と向き合うジャーナリストの葛藤が描かれました。

思い出す「告発の行方」

「ジャーナリズム」とは、新聞、雑誌、放送などで、時事問題の報道、解説、批評などをおこなうことです。

 

「ジャーナリスト」とは、ジャーナリズムの仕事をおこなう人のことをさします。

 

【相棒】シリーズでは約14年前の【相棒4第17話「告発の行方」】で、ジャーナリズムとジャーナリストがテーマになりました。

 

「告発の行方」では、四国のドーム球場建設をめぐる政治家の闇献金問題がクローズアップされました。ルポライターの堂島が書いた告発記事は握り潰され、雑誌には当たり障りのない提灯記事が掲載されました。直後に堂島は転落死しました。

 

右京さんは堂島を「気骨のあるジャーナリスト」と評価していました。

 

「声なき声」に登場した中川敬一郎も気骨のあるジャーナリストでした。

悪意と善意の間で

「声なき声」では、悪の存在が明確に描かれています。

 

ベトナムからの技能実習生に時給300円程度の賃金しか与えずに過重労働させていたヤクトー工業。

 

ヤクトー工業から違法な政治献金を受けて、制度の悪用に目を瞑っていた厚労族議員。

 

悪に抑圧されている人々もわかりやすく登場します。

 

社長に押し潰されている技能実習生たち。

 

議員からの圧力を受ける「かとくのメンバー」。「かとく」は過重労働を撲滅するための組織なのに、過重労働の隠蔽に加担させられそうになっていました。

 

抵抗する「かとく」のリーダー。

 

転落死した「かとく」の職員は、技能実習生からの遺書を受け取っていました。

 

ジャーナリストの中川から遺書の提出を迫られると、上司の立場が危うくなることを案じて、自らの命を絶ちました。

ジャーナリストが暴こうとしていた闇が、悪い奴と簡単にわかる社長や議員だけでなく、誠意を持って働く人々の生活を侵食してしまうかもしれないこと。

 

職員の死を知った中川は、記事にすることができませんでした。

記事にできなかった心にも共感

右京さんは「あなたはすべての真実を公表すべきでした。ジャーナリストとして、声なき声を伝えるためにも」と中川に言いました。

 

『週刊フォトス』の風間楓子は、違法献金や過重労働の悪を告発するとともに、恩人の中川について「ジャーナリストとしての責任放棄」と断じ記事を書きました。

 

中川はジャーナリズムの世界から足を洗います。

 

厳しい世界と言ってしまえばそれまでです。

 

ただし、ジャーナリストという職業に公的な資格が必要なわけではありません。

 

「自分はジャーナリストである」と称せば誰でもジャーナリストになれます。

 

ジャーナリストにも、どのネタを取り上げ、どのネタを取り上げないかを選択する権利があるはずです。

 

厚労族議員の汚職やヤクトー工業の過重労働については、社会正義を念頭に置けば、一般には取り上げるべきでしょう。

 

しかし、取り上げないことに悪はあるのでしょうか。

 

絶対に取り上げなければいけないわけはありません。「今」取り上げなかったとしても、その後の中川が真実を記事にしたかもしれません。後付けでも「熟成させた」「頃合をみた」などの理由を述べられます。

 

中川敬一郎がジャーナリストとしての自分を信じられるのなら、すぐに辞めなくても良かったはずです。ジャーナリズムから足を洗わないことで、自分を責任放棄と糾弾した風間楓子を逆にジャーナリズムを盾にした暴走として糾弾する道もありました。

 

それでも中川は身を引く決意をしました。それもまたジャーナリストの魂。

ジャーナリストの資格?

声なき声を届けることで、世論を味方につけて強者になってしまいかねない危険のあるジャーナリストの仕事。自分が追い詰めた人間が選んだ死に動揺した中川には、自分の弱さを受け入れ、弱者に配慮できる者として、声なき声を届ける資格は充分にあったように思います。

 

しかし、右京さんも風間楓子も、そして中川自身も、中川の選択を良しとしなかったわけで、彼にジャーナリストとして声なき声を届ける資格は無くなりました。

 

中川の挫折によって、「告発の行方」で死んだ堂島が願っていた「わからないでは済まされない」や「怒りを感じて欲しい。行動して欲しい」というジャーナリストとしての信念が、どれほどの芯の強さに支えられて成立していたのかを、再認識させられました。

社会派ドラマとして

今回のストーリーはとても見応えがありました。右京さんの冷酷な正義にも【相棒】らしさがありました。

 

ひとり鴨南蛮をすする風間楓子は人間味にあふれていました。ゴシップ誌の要素が強い『週刊フォトス』に在籍する楓子ですが、今回は骨太の記者魂が伝わってきました。かつてレギュラーだった亀山薫夫人の美和子さんに近づいてきたかな?

 

これからも社会派ドラマとしての【相棒】が、実際の「声なき声」に敏感に反応して問題提起してくれることを楽しみにしています。

 

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