光る風の少年はどこへ

2020年はドラマ「相棒」関連の記事が中心です。タイトルは「相棒」のシーズン1に登場した絵画「光る風の少年」から。

【相棒18-12「青木年男の受難」】ネタバレあり感想…右京さんが若い刑事に超絶ダメ出し?

【相棒】は、テレビ朝日・東映の制作で放送されている21世紀を代表するテレビドラマシリーズです。


主人公は、水谷豊さん演じる杉下右京警部とその相棒。現在の相棒は反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)です。たった2人の警視庁特命係が難事件を解決します。

 

2019年10月からは18シーズン目がスタート。冠城亘は【相棒14】での登場以来、5シーズン目となりました。

 

この記事では「警察官の正義とは何か?」について描かれた、2020年1月放送の【相棒18第12話「青木年男の受難」】のネタバレを含む感想などを記述しています。

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主な出演者・スタッフ

【相棒18第12話「青木年男の受難」】

2020年1月1日放送

 

出演

杉下右京=水谷豊=警視庁特命係係長。警部。

冠城亘=反町隆史=警視庁特命係。巡査。

伊丹憲一=川原和久=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

芹沢慶二=山中崇史=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

角田六郎=山西惇=警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課長。警視。

青木年男=浅利陽介=警視庁サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官。

内村完爾=片桐竜次=警視庁刑事部長。警視長。

中園照生=小野了=警視庁刑事部参事官。警視正。

木村信士=中村優一

石井琢也=広田亮平

後藤嗣昌=津村知与支

土師太=松嶋亮太

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真道

脚本=児玉頼子

音楽=池頼広

監督=杉山泰一

ほか

どんな話?

サイバーセキュリティ対策本部の土師太(松嶋亮太)が、青木(浅利陽介)に頼まれたと言って、右京(水谷豊)に本を返しに来た。

貸した覚えのない右京は事情を探ると、青木が無断欠勤している上、外部から警視庁のデータベースにアクセスしていることが判明。

昨年、神田北署の管轄で起きた事件を調べていることが分かる。

不穏な空気を感じ取った右京と亘(反町隆史)は、刑事部長の内村(片桐竜次)に青木が拉致された可能性を報告。

捜査一課の伊丹(川原和久)、芹沢(山中崇史)も加わり、内密な青木の捜索が開始される。

捜していることが犯人に漏れないようにしつつ、まずは犯人の目的を知るべく神田北署を訪れる右京と亘。

目的を告げずに昨年の「なにか」の資料を探す特命係を不審に思った刑事課の係長・後藤(津村知与支)は、赴任したばかりの若手刑事・木村(中村優一)に、右京たちを見張るよう指示を出す。

そんな中、青木がアクセスを試みているのが、暴力団幹部が刺傷を負った事件だと判明し…。(引用=テレビ朝日)

その後どうなった?(完全ネタバレ注意)

拉致されている青木が新たに、神田北署が担当した千代田区男性会社員の重過失致死事件にアクセスした。

 

この事件では石井直久という男が、階段で千葉という会社員を突き飛ばしてしまったという。この時、千葉の同僚の浜崎と戸川が一緒に歩いていた。木村は、浜崎と戸川が石井に罪をなすり付けた冤罪なのではないかと疑っていた。

 

近くに設置されていた防犯カメラの映像を上司の後藤らが証拠として採用しなかったため、木村の不信感は募った。

 

木村は、石井の息子である琢也から、事件を調べ直して欲しいと頼まれ、正義感から引き受けた。木村は神田北署のデータにアクセスするために、石井に青木を拉致させた。

 

重過失致死事件の現場に通りがかったタクシーのドライブレコーダーには事件の様子が映っていて、石井が冤罪ではないことが証明された。

 

琢也から、青木を殺して自分も死ぬという内容のメールを受け取った木村は、青木が監禁された現場に駆けつけるが、このメールは青木が打ったもので、石井はすでに逮捕されていた。

 

右京さんと冠城くんは、木村の自供を聞いたあと、木村が1人の若者を巻き込んで犯罪者にしてしまったことを糾弾した。

 

木村は右京さんに、最後に手帳を渡して頼み事をした。

 

暴力団幹部が刺された事件では、すでに対抗する組の男が逮捕されていたが、男は真犯人ではなく、若頭の身代わりとして出頭していたのだった。男は誤認逮捕だった…

 

右京さんが後藤に見せた木村の手帳には、この事件の捜査メモが丹念に書き込まれていた。

 

木村の執念が真犯人を暴いたのだ。

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感想など(ネタバレ)

所轄の若い刑事は、正義感が強すぎるあまり善悪の判断を見失ってしまいました。

青木年男を振り返る

今回のタイトルに採用された「青木年男」は、警視庁のサイバーセキュリティ対策本部に所属する特別捜査官です。浅利陽介さんが演じています。

 

【相棒】シリーズには【相棒14第15話「警察嫌い」】に警察嫌いの区役所職員として初登場し【相棒15】シーズンからレギュラーに加わりました。

 

ラストに表示される出演者クレジットでは「水谷豊」「反町隆史」「川原和久 山中崇史」の後に「山西惇 浅利陽介」と表示されるのが通例で、レギュラーとしての扱いは角田課長と同じくらい重要ということでしょう。

 

父親が警察間で、その親友が衣笠副総監(大杉漣さん→杉本哲太さん)です。青木の警視庁入りにはこの辺りのコネがあったようです。

 

【相棒16最終話「容疑者六人」】では、風間楓子(芦名星さん)をエスカレーターで突き落とすというとんでもない行為をしています。その結果、特命係に島流しされ、特命係は【相棒17】の前半まで3人体制となっていました。

 

右京さんと冠城くんに恨みを持っており【相棒15】では「特命係の終わりの始まりだ」と不穏な発言もしていますが、たいていはそれまで鑑識課の米沢さん(六角精児さん)の役割だった情報提供係に似た形で、右京さんたちに活用されています。

 

【相棒】ファンからは「どうせ特命係を3人体制にするなら陣川警部補(原田龍二さん)がよかった」とか「そもそもサイバー犯罪対策なら岩月彬(田中圭さん)だろ」という声も挙がるなど、かわいそうな立ち位置でもあります。

 

そんな青木年男のタイトル抜擢で、登場シーンがたくさんあるのかと思いきや、番組のスタート時にはすでに拉致されていて、30分経過くらいまではほとんど出てきませんでした。

土師太の活躍

一方で、サイバーセキュリティ対策本部で青木の同僚である土師太(はじふとし)が【相棒】シリーズ登場以来、初めてクローズアップされました。

 

松嶋亮太さんが演じる土師は【相棒16最終話】で初登場し【相棒18第1&2話】でも青木といがみ合うチョイ役を務めました。

 

今回は欠勤した青木の代理で特命係を訪れ、右京さんに『蟻地獄図鑑』を渡す役割で登場します。

 

最終的には土師の行動が青木を救ったこともあり青木は救出してもらったにも関わらず、納得がいかなかった様子。

 

「青木年男の受難」というよりは「土師太の活躍」といった印象が残ります。

 

米沢さんの卒業以降、特命係に友好的な存在が消えつつある中で、今後はひょっとしたら土師が青木の対極キャラとして、青木が裏切った際には右京さんたちを助けてくれるかもしれません。

青木を拉致した「正義感」?

青木年男を拉致したのは、石井琢也という青年でした。

 

石井は、千代田区で起きた男性会社員重過失致死事件の犯人として逮捕された石井直久の息子です。

 

父は冤罪なのではないかと、神田北署刑事課の後藤係長に再捜査を頼みますが、受け入れてもらえませんでした。

 

後藤の部下の木村刑事は琢也の話を聞いてくれました。

 

正義感の強い木村刑事は、真相を知るために琢也に協力します。

 

しかし、琢也に青木を拉致させて情報を引き出すという、まちがったやり方をしてしまいました。

右京さんvs警察組織

【相棒】では、所轄署の組織ぐるみの腐敗と、その圧に苦しむ刑事の姿が、初期からたびたび描かれてきました。

 

【相棒1第4話「下着泥棒と生きていた死体」】では、エリート署長が保身のために組織ぐるみの嘘を指示して真実を隠しとおそうとしました。

 

カイトくんが所轄時代に勤務していた中根署では、容疑者から自白を得るために取引した事実を、捜査員たちが隠していました。

 

右京さんたちはその都度、隠ぺいの事実を暴いて、警察の役割は自分たちの組織を守ることではないと説いてきました。

 

「青木年男の受難」では、これまでとはちょっと違う形で、所轄署の「それでいいのか?」が問われました。

「効率化」という「怠慢」?

神田北署の署長はキャリア組で、仕事の効率化を求めていました。

 

そのために、石井の重過失致死事件は、犯人を逮捕して簡単に捜査が終了しました。付近の防犯カメラからは別の容疑者の存在を匂わせる映像が出てきましたが、後藤は証拠に採用しませんでした。

 

また、暴力団幹部が刺された事件でも、出頭してきた対立する組の男が犯人ということで捜査は早期に終了しましたが、犯人は別にいることも充分に考えられました。

 

こうした流れを、木村は「怠慢」だと感じていました。

 

だから、石井琢也の請願に乗ってしまったんですね。

 

そこで青木を拉致して独自の再捜査した結果、石井直久の件は冤罪ではなく当初の捜査通りの結果だったことと、暴力団幹部の事件は真犯人が別にいたことがわかりました。

 

木村にとっての2つの事件の結果は、1勝1敗だったというところでしょうか。

 

しかし、民間人の琢也に青木年男を拉致させるという犯罪行為を教唆したのは、許される行為ではありません。

 

木村は、こうするしかなかったのでしょうか?

ヒントは「警官殺し」

警察が真実を見誤らないために、正義感の強い木村のような人物は必要不可欠な存在です。

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しかし、警察の組織は強大です。上に刃向かう行為をすれば、すぐにトカゲのしっぽ切りに遭います。

 

告発しようとしても、握りつぶされてしまう可能位のほうが高そうです。

 

では、木村刑事はどうすればよかったのか。【相棒】では「下着泥棒と生きていた死体」の続編ともいえる【相棒3第12話「警官殺し〜銃に残された赤い指紋」】でヒントが提示されています。

 

「下着泥棒と〜」では暴かれた真相が警察内部の人事異動などで処理されたのに対し、「警官殺し〜」では、内部で処理されそうになった真相が、最後には記者会見という形で公表されました。

 

どちらも右京さんの推理で真相にたどり着きました。

特命係、監察官、ジャーナリスト…

「警官殺し〜」では、大河内監察官が「警察は身内を良くしようとすると『排除』の論理が働く」とした上で「特命係は『奇跡』だ」と表現しました。

 

警察官の不正を取り締まる監察官の首席が特命係を認めるような発言をすることも奇跡ですが、それだけ特命係は排除の対象でもあり最後の砦でもあるということです。

 

千葉は、青木の拉致を計画するよりも「平成のシャーロック・ホームズ」こと杉下右京を味方につけるべきでした。

 

青木に目をつけるくらいなら、ねえ。無理なのかなあ。所轄の刑事にとっては特命係は警視庁の陸の孤島でしかないことは承知していても…

 

特命係を見つけられなかったら、素直に監察官に告発することもできます。内容が切実なら大河内さんは匿名でも気にかけてくれます。

 

内部告発が怖かったとすれば、外部からの告発という手もあります。

 

「警官殺し〜」では、亀山くんが帝都新聞の美和子さんに情報提供していました。【相棒4第17話「告発の行方」】や【相棒18第4話「声なき声」】では右京さんが認める気骨のあるジャーナリストが登場しています。ちょっとゴシップ系なら「週刊フォトス」の風間楓子もいます。

 

こうした報道を頼りにする手もあります。告発者が自分だとバレた時の風当たりは強いでしょうが、上司に何度も再捜査を掛け合っていた木村なら、勇気は出せたはずです。

児玉頼子脚本が問う「正義」

今回の脚本を担当したのは、児玉頼子さんでした。【相棒18】ではここまで「声なき声」と「さらば愛しの人よ」も担当しています。

 

同じくメイン作家の神森万里江さんの作品が「復讐」を企てる人の悲哀を描く傾向が強い一方で、今回の児玉さんの作品は「正義」にあふれる人の葛藤や屈折が軸になりました。ジャーナリスト回の「声なき声」も児玉さんの担当です。

 

児玉さんの脚本は、派手さはないし、すっきりしない終わり方も多いのですが、そのモヤモヤ感もイヤーな感じのものではなく、見終わった後の余韻が心地よくて大好きです。

 

「じゃあどうすればよかったのか?」が考えやすいというか。

 

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【相棒17】あたりからメイン脚本家の入れ替わりが目立ちますが【相棒】が提示し続けるテーマはしっかり継承されていて、うれしい限りです。

 

【相棒すげぇ!】は健在です。

 

正直、【相棒14】【相棒15】の頃は見るのやめちゃおうかなあと思った時もありました…。

 

やめないでよかったよ!

声に出して読みたい右京さんのセリフ

「捜査について君の理念を掲げるのは君の自由です。ですがその前に、君は大きな過ちを犯してます。1人の若者を巻き込んで犯罪者にしたんですよ」

 

正面から間違いを指摘する右京さん。

 

「君は青木くんのメールを見てすぐにここに駆けつけた。石井琢也さんを死なせてはいけないと。彼に罪を犯させたのは自分だとわかっていたからですよ。警察官として、自分のした事を恥じるがいいでしょう。もっとも、君がこの先も警察官でいられる何の保証もありませんがね」

 

若い刑事にも容赦ない右京さん。怖っ!

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