20周年を迎えたドラマ【相棒】は、2020年秋から新シーズン【相棒19】が放送されます。
社会派作品、ラブストーリー、コメディーなど多岐にわたるストーリーが魅力の【相棒】ですが、【相棒16】あたりからは、ゲスト登場人物の心境を丹念に描写する人情物の名作が増えてきました。
2020年春まで放送された【相棒18】でも、人情物の濃厚なストーリーが中心となりました。【相棒19】はどうなるのかな?
この記事では【相棒18】で放送された話をカテゴリ分けして振り返ってみます。犯人をネタバレしている箇所もあるので、未視聴の場合は注意してください。
(画像引用=テレビ朝日)
- 『狂気』を描いた作品
- 『復讐』を描いた作品
- 『告発』を描いた作品
- 『身近に潜む悪意』を描いた作品
- 『嫉妬』を描いた作品
- 『正義の暴走』を描いた作品
- 『右京さんの強敵』を描いた作品
- 【相棒19】でも濃密な人間ドラマに期待!
『狂気』を描いた作品
【相棒】では初期の「平成の切り裂きジャック」こと浅倉禄郎以来、狂気系の犯人が数多く描かれています。
☆【相棒18第1話「アレスの進撃」】
☆【相棒18第2話「アレスの進撃〜最終決戦」】
☆【相棒18第5話「さらば愛しき人よ」】
【相棒18】初回2話連続スペシャルとなった「アレスの進撃」は、殺人兵器と化した父(船越英一郎さん)と娘(北香那さん)の哀しい物語です。
北海道あたりに浮かぶ「天礼島」で起きる連続殺人事件は、目的のために手段を選ばない犯人の狂気が話題となりました。
オープニングストーリーからまさかのバッドエンド!
「さらば愛しき人よ」では、冠城亘(反町隆史さん)の元恋人(佐藤江梨子さん)が殺害されてしまいました。
犯行動機があまりにも身勝手です。好意を寄せる相手に振り向いて貰えず、自分のものにするために裏工作をして、それがバレたら「なんでわかってくれないんだ」とブチ切れて殺害…
まさに狂気の沙汰ですね。
『復讐』を描いた作品
【相棒18】では復讐をテーマとしたストーリーが並びました。報復行為の無意味さを語る右京さん(水谷豊さん)のセリフに考えさせられます。
☆【相棒18第3話「少女」】
☆【相棒18第8話「檻の中〜陰謀」】
☆【相棒18第11話・元日スペシャル「ブラックアウト」】
☆【相棒18第13話「神の声」】
「少女」は、恋人を自殺に追い込んだ悪者を殺害しようとする男(三浦誠己さん)と、妹を死なせた母を許せない小学生の少女(大島美優さん)の、2つの復讐の物語です。
右京さんが少女の目線で諭す「生きてください」というメッセージに号泣必至!
「檻の中〜陰謀」は、妻をサルウィン共和国で起きたテロで亡くした男(山崎樹範さん)が、兵器となったドローン技術を開発した大学教授への復讐を企てるストーリーの前編です。
「ブラックアウト」は、大爆発によってゴルフ場の地下に警察庁OBの蓮見恭一郎(長谷川初範さん)やその秘書(瀧本美織さん)、そして右京さんたちが閉じ込められてしまう話です。
真犯人の目的は、大切な人を殺した人物への復讐でした。二転三転する入り組んだストーリーは圧巻!
「神の声」は、山岳信仰がある村で起きた殺人事件です。容疑は住民に村八分を受けていた男にかかりますが、男の行方は不明です。
やがて連続殺人に発展するほどの犯人の動機は、大切な人を殺した男たちへの復讐心でした。
『告発』を描いた作品
【相棒】は社会派ドラマとして、時事問題を含めた社会の悪を告発する内容のストーリーも放送します。
☆【相棒18第4話「声なき声」】
☆【相棒18第9話「檻の中〜告発」】
☆【相棒18第19話「突破口」】
「声なき声」では、厚生労働省で過重労働問題を担当する職員が死体で発見されます。
遊具による児童の死亡事故を取材していたジャーナリスト(長谷川朝晴さん)がたどり着いた真実と、彼の選択とは。
「週刊フォトス」の風間楓子(芦名星さん)もブレないジャーナリスト魂を見せてくれる回です。
「檻の中〜告発」は前後編スペシャルの後編。前編で明らかになった自分への復讐計画を受け入れた大学教授(中村育二さん)は、自身が開発したドローン技術を使って罪を告白しようとします。
しかし右京さんは、死をもって贖罪しようとする教授の間違いを追及します!
「突破口」は、与党幹事長の口利き疑惑に関与したとされる大手ゼネコン社員が転落死します。
彼の死をムダにさせないために戦おうとする初老の男(中本賢さん)ですが、突破口が見つけられないまま、事件の真相は闇に葬られてしまいそうになります。
そんな男に右京さんは「鬼」になれるかと問います。その真意は??
『身近に潜む悪意』を描いた作品
世の中には善良な人もいれば、そんな人たちを騙してお金を奪って生きようとする悪党も存在します。そんな奴らは右京さんがバッサバッサと斬り捨てます。
☆【相棒18第6話「右京の目」】
☆【相棒18第10話「杉下右京の秘密」】
☆【相棒18第18話「薔薇と髭との間に」】
「右京の目」には、生活保護を受給して生活する人々からお金を巻き上げている悪党たちが出てきます。
弱者を守る仕事をするはずの人々がグルになってしまったら、被害者は泣き寝入りするしかないのか…
目が見えなくなった右京さんは、盲目の少女が目がくれた右京さん小さなプレゼントに助けられました。
「杉下右京の秘密」は、右京さんが「パパ」になる話。
花屋を営む男(石井愃一さん)の裏の顔が金塊密輸グループのボスでした。男は自分に背いた手下を「雑草」呼ばわりします。
激怒した右京さんは「いい加減にしなさい!彼らが雑草なら、あなたはその雑草につく害虫です」と一喝していました。
「薔薇と髭との間に」には、【相棒】初期の名物キャラクター・ヒロコママ(深沢敦さん)が登場。
ストーリーには、リゾート開発会社の悪い奴が登場しました。その会社は評判の良い旅館やレストランなどを狙ってトラブルを起こさせて、ネットのクチコミによる悪評を拡散していました。
経営が傾いたお店を、善人のふりをして安く買い取る悪行!
『嫉妬』を描いた作品
人間はどうしても自分と他人を比較してしまうものです。そこに嫉妬を感じた時、犯罪行為に暴走してしまうこともあるようです。
☆【相棒18第7話「ご縁」】
☆【相棒18第20話「ディープフェイク・エクスペリメント」】
「ご縁」では、妻子も仕事もお金も失ってしまった初老の男(河西健司さん)が、親同士の婚活パーティーに対して「子供がいるだけで幸せなのに、金を払って結婚相手を探すやつに腹が立った」として、詐欺グループに加担してしまう話です。
どうして自分だけこんな目に遭うんだという不公平感ですね。
「ディープフェイク・エクスペリメント」では、殺人事件の犯人は天才科学者(坂井真紀さん)でした。
その動機のひとつが嫉妬です。桂川が他の女(遠山景織子さん)を抱きたいと欲望を語るのが許せなくなってしまったのです。
『正義の暴走』を描いた作品
自分の信念を貫いた結果、犯罪行為に手を染めてしまう人がいます。【相棒】では甲斐享の「ダークナイト」がわかりやすい例です。
☆【相棒18第12話「青木年男の受難」】
☆【相棒18第16話「けむり〜陣川警部補の有給休暇」】
「青木年男の受難」で、サイバーセキュリティ対策本部の青木(浅利陽介さん)が拉致監禁された事件には、所轄署の若い刑事(中村優一さん)が関与していました。
刑事は自分が捜査に加わっていたある事件に冤罪の可能性があると疑い、真実を知りたい気持ちが暴走してしまいました。
「けむり〜陣川警部補の有給休暇」は、暴走と失恋のお約束パターンで大人気の陣川警部補(原田龍二さん)が登場した回です。
しかし単純なコメディーというわけにはいかず、殺人事件の裏には犯罪被害者家族と犯罪加害者家族の葛藤が絡むシリアスなストーリーになりました。
陣川警部補の暴走が愛されるものだとしたら、許されない暴走は連続窃盗犯の「けむり」。けむりが盗みに入るのは悪いことをしている奴らの場所なのですが、だからってお金を奪って良いわけはありませんね。
『右京さんの強敵』を描いた作品
右京さんの最大の敵といえば政治家の片山雛子が思い浮かびますが、ほかにも右京さんを脅かす強敵が存在します。
☆【相棒18第14話「善悪の彼岸〜ピエタ」】
☆【相棒18第15話「善悪の彼岸〜深淵」】
☆【相棒18第17話「いびつな真珠の女」】
「善悪の彼岸」は、【相棒16】で初登場した右京さんのロンドン時代の相棒・南井十(伊武雅刀さん)との決着編として、前後編スペシャルで放送されました。
善悪の境界を判断する能力を失い、連続殺人犯となっていた南井。
右京さんに真相を暴かれた南井は逮捕されて入院しましたが、脱走します。崖から飛び降りたらしいのですが、死体は見つかっていません。
ということは、…??
「いびつな真珠の女」では、【相棒17】で初登場した「平成の毒婦」こと遠峰小夜子(西田尚美さん)が再び右京さんたちを翻弄します。
人の顔を記憶できる相貌視認能力がある小夜子が、刑務所の中から信奉者を操って、人の顔を覚えられない相貌失認の芽依(朝倉あき)さんを拉致監禁させていました。
「彼女は危険です」と警戒する右京さんとの対決は【相棒19】以降に持ち越されました。
【相棒19】でも濃密な人間ドラマに期待!
狂気、復讐、告発、身近に潜む悪意、嫉妬、正義の暴走、右京さんの強敵…
どれも【相棒】シリーズでこれまでにも語られてきたテーマです。
【相棒18】では、普遍的なテーマを扱いつつ、ゲスト登場人物の心境が深く掘り下げられて、人情物の名作が揃いました。
そのぶんレギュラー・サブレギュラーキャラクターの人間関係に大きな進展は見られませんでした。
現実世界では、2020年の国内は新型コロナウイルスの影響で停滞ムードが漂っています。
このような時期ですから【相棒19】でいきなり「冠城亘が卒業する」「ドラマじたいが終わってしまう」などの強烈なショックにつながるシーズンにはならないと推測できます。
【相棒19】も【相棒18】に続き、1話ずつの濃密な人物描写を基本としたストーリーが引き継がれるのではないでしょうか。
その上で、甲斐峯秋(石坂浩二さん)と衣笠副総監(杉本哲太さん)の権力争いなどサブキャラクターの動きが活発化してくると思われます!
《関連記事》