TV朝日系列で放送されているドラマ【相棒】は、2020年に20周年を迎えました。10月からは新シーズン【相棒19】がスタートしています。
主人公は水谷豊さん演じる杉下右京警部と、その相棒です。初代の亀山薫(寺脇康文さん)から、神戸尊(及川光博さん)、甲斐享(成宮寛貴さん)と続いて、現在は反町隆史さんが演じる冠城亘。2人が所属するのは警視庁特命係です。
20年も続くドラマですから「そろそろ打ち切りになるのでは」とファンを不安にさせる憶測が飛び交うようにもなっています。
実際のところはどうなのでしょうか。水谷豊さんのインタビューを読んでみると、水谷さんと【相棒】スタッフの独特な考え方に唸らされます。
(画像引用=テレビ朝日)
番組が終了すると憶測される2つの理由
ニュース記事やSNSのつぶやきなどでたまに打ち切りが噂され、いつまで続くのか、結末はどうなるのかと興味が注がれる理由は2つあるようです。
1.視聴率の低下傾向?
2000年に2時間サスペンス枠の土曜ワイド劇場でスタートして、高視聴率が評価され連続ドラマとなった【相棒】。
神戸尊が相棒となって2シーズン目の【相棒9】では平均視聴率が20.4%を記録して、数字面での人気の裏づけとなりました。
一方で、2019年秋から放送された【相棒18】の平均視聴率は14.8%となり、人気に翳りがみえてきたのではと囁かれました。
2.出演者の高齢化?
ドラマが20年も続けば、レギュラー出演者の年齢も上がっていきます。
2000年の放送開始当時47歳だった主演の水谷豊さんは【相棒19】放送時には68歳です。
プレシーズンの第1作から出演しているレギュラー陣では、伊丹刑事役の川原和久さんが58歳、中園参事官役の小野了さんが61歳、内村刑事部長役の片桐竜次さんは73歳となりました。
SNSでは「右京さんはもう定年なのでは?」「出演者の高齢化で健康面が心配になってきた」といった投稿も見かけます。
終了の憶測を吹き飛ばす2つの理由
平均視聴率の低下や出演者の高齢化などで打ち切り説が囁かれる【相棒】ですが、当サイトでは「【相棒】は簡単には終わらない」と断言させていただきます。
その理由は「番組が普通に面白いから」なのですが…それだけでは打ち切りにならないという根拠に乏しいので、まずは平均視聴率の低下や出演者の高齢化が打ち切りに影響しない理由を挙げてみます。
1.視聴率だけが判断材料ではなくなった
【相棒18】以降、毎週水曜日の本放送の終了直後から、動画配信サービスで「見逃し配信」ができるようになりました。
見逃し配信は無料で気軽に視聴できるものもあるため利用者が多く、これまでのように水曜日の夜9時にテレビの前にいなきゃ、という拘束性が薄くなりました。
視聴率に含まれない視聴の仕方が、視聴率の変化に影響を与えているという見方もあります。
とはいえ数字はやはり気になるところ。
2020年10月14日に放送された【相棒19】の初回放送が17.9%と高視聴率を記録し、数字面でも巻き返したことで、改めて【相棒】が支持され続けていることがわかります。
2.水谷豊世代の視聴者からの信頼が厚い
水谷豊さんは68歳を迎えて、右京さんの印象も20年前と比較するとだいぶ変わってきましたが、老化といった印象はなく、現役バリバリの警察官として円熟味を感じます。
役者が年齢を重ねれば、視聴者も等しく歳をとります。20年の重みを肌で感じているのは視聴者も同じ。
【相棒】の視聴者層は男女ともに50代以上が圧倒的に多く、中でも65歳以上の「水谷豊世代」に広く支持されています。【相棒】よりも以前から水谷豊さんのドラマを見ている層からの根強い信頼は揺らぎません。
また、初期の頃から慣れ親しんでいるレギュラー陣が活躍する姿を、自分の年齢と重ねながら、毎年の恒例として安心して楽しめる点も【相棒】の魅力です。
水谷豊さんが語る【相棒】の現在と未来
右京さんを演じる水谷豊さんは【相棒】が支持され続ける理由について「この作品は当初から『今何ができるのか』ということの連続」と語っています。
では、自身や【相棒】と右京さんの未来についてはどう見ているのでしょうか。
あえて長期計画を立てない
「自分らしい色が出せ、バランスがとれてくるのが60代、いろんなことが楽しめるようになるのは70代になってからだと思います」と語る水谷豊さんは意欲旺盛に語ります。
また「【相棒】をどこまで続けていけるか。これは想像がつかない世界」との話から、そう簡単にこのドラマが終わらない予想を導けます。
一方で「あえて長期計画をしないチームですから、正直、先のことはプロデューサーに聞いてもわかりません」とも。
先のことを考えるより、今できることに全力を尽くす【相棒】の基本理念の継続が、ロングランの秘訣のようです。
あきらめたらそこで終わり
水谷豊さんは、自身と右京さんの共通点を、右京さんの過去のセリフから導きます。
「右京の台詞に『もし限界があるとするならば、それはあきらめた瞬間でしょう』という言葉があるのですが、僕の中にも同じ思いがある。右京が事件に立ち向かう時の気持ちと、僕が【相棒】という作品と向き合う姿勢には通じるものがあるんです」
『もし限界があるとするならば…』のセリフが出てくるのは、2002年12月放送の、シーズン1の最終回です。
その頃から右京さんと、右京さんを演じる水谷さんがブレていないことが伝わります。
【相棒】にも危機がなかったわけではないようです。【劇場版4】のインタビューで、水谷さんは意味深な発言をしています。
「シリーズが始まってから今に至る流れを振り返ってみると、この作品が今、大変な時期に入っていることは間違いない。でも、あきらめずに続けていけば、必ずその先へと突き抜けていける」
【劇場版4】といえば本編では【相棒15】のあたりです。その頃に何らかの危機感があったのかもしれません。それでもあきらめずに続けて、突き抜けたからこそ今があるはずです。
もし【相棒】に終わりがあるとするならば、それはあきらめた瞬間でしょう。
【相棒】が打ち切りにならないたった1つの秘訣
【相棒】は「そろそろ打ち切りになるのでは」という心配が囁かれることはありますが、簡単に終了するということは無さそうです。
その秘訣はたった1つ。
・あえて長期計画を立てず、常に「今何ができるのか」を考えている
ゆえに「いつ終わっても不思議ではない」緊張感が生まれていると推測できます。
いつ終わっても不思議ではないのに20年間も続いているのは「あきらめない」心で臨んでいるから。
ただし水谷さんいわく「いつまで、というのはまったく決めていないです」と話しつつ「死ぬ前にはやめたいね(笑い)」だとか。
簡単には終わらなそうなこのドラマ、これからも期待しています!
(参考資料=「相棒劇場版4オフィシャルガイドブック」(ぴあ株式会社、2017年)、朝日新聞2020年10月10日付「フロントランナー」、「MANTANWEB(まんたんウェブ)」2020年10月14日付『相棒:20周年で水谷豊&反町隆史に聞く「これまでとこれから」 時代を切り取るスタンスと“年輪”』)
《関連記事》こちらも考察記事です。