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【相棒19第18話「選ばれし者」】ネタバレ&感想…もし「科警研の女」が市民を犯罪者に変貌させたら

放送開始20周年を迎えたドラマ【相棒】は、2020年の秋から2021年にかけて新シーズン【相棒19】が放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

この記事では2021年3月3日に放送された【相棒19第18話「選ばれし者」】のネタバレを含めた感想などを記述しています。

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(画像はテレビ朝日から引用)

第18話「選ばれし者」はどんな話?

【相棒19第18話「選ばれし者」】

2021年3月3日放送

どんな話?

小説『魔銃録』の作者・笠松剛史(真田幹也)が拳銃で撃たれ殺害された。

『魔銃録』は、魔銃と呼ばれる拳銃を手にした者たちが自らを“選ばれし者”とし、世界を救うという使命にかられてそれぞれに戦いを挑む物語――3カ月ほど前には、小説の内容を真似て代議士が襲撃される事件も起きていた。

作者殺害の犯行に使われた銃が、『魔銃録』にも登場するかなり旧式の珍しいデュークで、代議士殺害のものと線条痕も一致し、捜査一課や組織犯罪対策五課はにわかに慌ただしくなっていた…。

実は、代議士殺害の銃はすでに押収されており、同一の凶器が犯行に使われるはずはなかったのだ。

 

科学警察研究所(=科警研)で線条痕を再鑑定していると聞いた「特命係」の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)はさっそく機械研究室主任研究官・黒岩雄一(上杉祥三)のもとを訪問。

再鑑定の結果、やはり笠松殺害の銃は、科警研で保管されていたはずのデュークと一致していたと報告を受ける。

銃も持ち出されておらず、線条痕の細工もできないことから、考えられる可能性は「同一の線条痕をもつ銃が別に存在する」か「鑑定のミス」の2つ…。

しかし同じ科警研の研究員で犯罪行動科学部犯罪予防研究室の久保塚雅美(前田亜季)は、「黒岩先生に限ってそんなことがあるはずはない」と断言する―――。

 

その矢先、新たにデュークを所持している人物が浮上し、さらに事件は衝撃的な展開を見せる!(引用=テレビ朝日)

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京=水谷豊
冠城亘=反町隆史

伊丹憲一=川原和久
芹沢慶二=山中崇史
角田六郎=山西惇
青木年男=浅利陽介

出雲麗音=篠原ゆき子

益子桑栄=田中隆三

内村莞爾=片桐竜次

中園照生=小野了

久保塚雅美=前田亜季

黒岩雄一=上杉祥三

笠松剛史=真田幹也

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
脚本=杉山嘉一

音楽=池頼広
監督=田村孝蔵
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

久保塚はアメリカ留学時代にホールドアップ(銃で屈服させられて金品を奪われる)されたことがあった。その時の「ノーペイン、ノーゲイン(痛みなくして得るものなし)」経験が研究に携わるきっかけになったという。

黒岩が転落死

右京たちは笠松が著書のために使用した参考資料から「犯罪に対する見解と行動基準」という大学と科警研の共同研究論文に注目する。

 

新たにデュークを持っていた男は豊田充。伊丹たちに追われるが銃で威嚇する。麗音が「私も銃で撃たれたことがある。死にたくないと思いながら呻くことしかできなかった。あんな思い、誰にもさせないで」と呼びかけ、豊田は崩れ折れ、伊丹たちに逮捕される。

 

しかし豊田が持っていた銃は、魔銃とはまるで違う線条痕の別の拳銃だった。豊田に拳銃を渡して罪をなすりつけるつもりだった相手は誰なのか。亘が銃を手にすると、銃の整備に使うガンオイルの匂いがした。

 

科警研の中庭で黒岩が転落死した。

 

黒岩は、豊田と代議士を襲った原口が笠松にあてたファンレターのコピーを所持していた。2人は論文の被験者だった。笠松と黒岩はつながっていた。笠松に「魔銃録」を書かせて、銃を持ち出して射殺したが、黒岩は捜査の手に逃げられないと思い自殺したのか?

 

よろけながら歩く久保塚を気づかう亘は、久保塚の体からガンオイルの匂いを感じ取る。

犯人と線条痕の謎の真相とは?

黒岩が言っていた「銃は力のない者が暴力によって封じられないようにするもの」という話から、右京は黒岩が銃を使って人を殺すとは思えないと判断。

 

久保塚がアメリカでホールドアップされた際に使われた拳銃はデュークだった。久保塚はスタンフォード大学でガンクラブに入っていた。

 

そしてガンオイルの匂い…

 

デュークは単純な構造の銃。犯人はデュークを分解し、線条痕をつけるために必要な銃身だけをほかの拳銃に移し替えて、科警研から持ち出した。

なぜそんなことをした?

久保塚の犯行動機は「実験」。力を欲している者に銃を渡したらどうなるのか、調べるためだった。「魔銃録」を書かせたのは久保塚。笠松が「今ならまだ間に合う」と警察に出頭しようとするのを久保塚が「実験の邪魔はさせない」と射殺した。

 

銃を元のように組み立てるためにガンオイルを使い、組み立てた銃を捜査の撹乱と魔銃を世間に知らしめるために豊田の家に届けた。

 

黒岩は久保塚を疑っていなかったが、ガンオイルの話から久保塚の犯行だと気づいてしまったため、久保塚に殺された。

 

アメリカで久保塚をホールドアップさせたのはふつうの少年だった。

 

久保塚は「日本は平和ボケしている」と話す。もっと銃があふれる社会と向き合うべきだと。

 

しかし右京は「あなたのしたことは卑劣な行為」で「愚かな行為」であると断じた。

感想など

真犯人やその動機が【相棒】にしては分かりやすい今回のエピソードは「ごく普通の人たちがどんな状況になれば罪を犯すのか?」と「銃はなぜ存在するのか?」について考えさせられる「問題提起回」となりました。

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犯人がわかりやすい回には深いテーマが隠れている

刑事ドラマでは「犯人はAと思わせておいて、次にBと思わせてじつはCだった」というお約束な展開がたまにあります。意外な結末によって「なるほど!」と唸らされるストーリーになることが多いのですが、今回は「C」が早い段階で視聴者に予測されていたのではないでしょうか。

 

とくに主任研究官が転落死して伊丹刑事が「この男が真犯人で自殺」と幕引きを図る時点で「いや、真犯人はメインゲストの前田亜季さん=久保塚雅美だ」と先が見えてしまいます。

 

久保塚雅美が使ったトリックについては「銃身だけを取り替える」という凝ったものでしたが、犯行動機については「実験」であり、久保塚を実験に駆り立てたのは「日本人は平和ボケしているから」という【相棒】では何度か取り扱われたものになっています。

 

もっとさかのぼれば、ゲスト陣で女性は久保塚雅美だけという話で、早い段階で主任研究員が「女性でも銃を扱える」と説明した時点で犯人の目星がついてしまいます。

 

これを「犯人がすぐにわかっちゃって捻りがない」という見方だけで終わってしまうのは早計かもしれません。

 

【相棒】において早い段階で犯人がわかるエピソードは、その回のテーマについて視聴者に考えるきっかけとなる問題提起に比重をかけた作品になっている場合があるからです。

もし特別な力=拳銃を手に入れたら

今回は拳銃について深く語られる回になりました。科警研に保管されているはずの拳銃と同じ線条痕を持つ銃で新たな犯行が起こり、その謎を解く過程で拳銃についてのあれこれが語られます。

 

拳銃とすぐに結びつくワードに「犯罪」があります。

 

とある大学と科警研の共同研究によって作成された「犯罪に対する見解と実行基準」という論文が、事件に関わる人々をつき動かしていました。

 

論文の内容は「ごく普通の人たちが犯罪についてどう考えるのか。どんな状況になれば罪を犯すのか」を研究するものでした。

 

研究のために「魔銃録」という銃を扱った小説が書かれました。

 

400人を超える被験者の中には「もし特別な力を手に入れたとしたら、国民をバカにしている政治家に正義の鉄槌を下す」と答えた人物がいて、拳銃を手に入れた彼は、代議士を襲撃します。

 

「ごく普通の人たちが犯罪についてどう考えるのか。どんな状況になれば罪を犯すのか」は「特別な力を持った人が犯罪に走るか踏みとどまるか」の二者択一の線引きがどこにあるかを見つけることで、ある程度は明らかになるのかもしれません。

 

久保塚雅美は、その線引きを実際に試すために、男に拳銃を持たせ、凶行に走らせる結果を導きました。

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犯罪に向き合わせるための犯罪という愚行

犯罪に対する見解や実行基準は、人によって違うはずです。「大切な人が殺されたら復讐するか?」という問いに「する」と答えた人が、実際にそのような状況になった時に復讐を実行するかどうかはわかりません。

 

そのぐらいは、科警研の専門家なら理解していることでしょう。それでも実験したいのは、その奥にさらなる別の目的があったから。


その信念とは久保塚雅美の「日本人は平和ボケしている」という固定観念による「日本人はもっと犯罪と向き合うべき」というひとりよがりな信念です。

 

彼女はアメリカ留学時代に、普通の少年に拳銃で脅されて金品を奪われた経験による悔しさに囚われていました。

 

その「悔しさ」を忘れずに今後に生かすために犯罪行為に走る「ミイラ取りがミイラになる」の典型パターンにはまっています。

 

右京さんが断じたとおりの「愚行」でした。

 

こうしたわかりやすい勘違いの例を提示して、視聴者を犯罪と向き合わせる引き金を引いたのが、今回の拳銃回です。

人の平等や自分を守るためには

拳銃嫌いの右京さんは「持てば短絡的な行動に走りがちですし、ろくな結果になりません」と持論を述べます。

 

「人を平等にするのは銃ではなく法だと思います」と話す右京さんに対して、拳銃を持つ者と持たない者では不平等だと語る主任研究官は「法が守ってくれない時もあるでしょう」と反論します。「銃器が持つ脅威について、みんながもっと考えるべきだ。力のない者が暴力によって踏みにじられないように」と。


右京さんと主任研究官の意見の違いは「抑止力としての銃」のあり方についての問題提起でもあります。

 

銃を持たない者が銃を持つ者に対抗するには銃を持つしかないのか?

 

そうではないというのが右京さんの「人は法のもとに平等」の信念です。ただし「それが絶対的に正しい」と視聴者に伝えるわけではなく「あなたはどう思いますか?」と問うのが【相棒】の語り方のひとつです。

 

犯罪が悪であることは絶対です。では、その悪から守るために人はどうすればよいのか。

 

もし「選ばれし者」が自分で、特別な力を手に入れたら、自分ならどうするか。その時は自信を持って銃を捨てられる人でありたい。

 

ただし、丸腰の自分を守るためには、法の力だけでは足りないのが現代社会。では、何が足りない?

 

思考は、終わることなく。