2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。
水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。
2022年1月19日放送の【相棒20第12話「お宝探し」】はどんな話なのでしょうか。
本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。
(画像はテレビ朝日より引用)
【相棒20第12話「お宝探し」】はどんな話?
【相棒20第12話「お宝探し」】
2022年1月19日放送
どんな話?
【相棒】公式サイトより引用
元刑事の安岡(小宮孝泰)が、自宅で撲殺されているのが発見された。捜査一課は、刑事時代に逆恨みされた可能性も視野に捜査を始める。
しかし、右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、安岡が埋蔵金探しの動画をサイトに投稿していたことに注目。事件との繋がりを疑う。
手掛かりを求めて発掘現場の赤城山を訪れた右京は、安岡の宝探し仲間である新井(山本龍二)と接触。作業を手伝うという名目で周辺を探り始める。
いっぽう、東京に残って背後関係を調べていた亘は、気になる情報を掴む。安岡と新井が発掘していた現場は、すでに不動産会社を営む東堂(目黒祐樹)という男が、大金をつぎ込んで探し回った場所だという。
さらに、安岡が警備員として働いていたのは、東堂の会社だったことが判明。しかし、東堂に確かめると、「面識はなかった」と語る。
不可解な繋がりに疑念を抱いた亘が、さらに調べると、東堂の長男の妻が3年前に行方不明になっていて、その直後に突然、東堂が発掘中止の指示を出していたことが分かる。
埋蔵金ハンターに加わった右京の狙いは?
単独行動の亘が掴んだ情報に謎を解く鍵が
興味本位のお宝探しが意外な事件をあぶり出す!
テレ朝POST版
元生活安全課の警察官・安岡宏(小宮孝泰)の他殺体が自宅で発見された。
安岡は3年前に定年退職した後、警備会社に勤務。最近では仕事のかたわら、埋蔵金ハンターチームの一員として群馬・赤城山で徳川埋蔵金の発掘調査に挑み、その様子を動画配信サイトに投稿していた。
元警察官がなぜ、埋蔵金ハンターに加わったのか…。興味を抱いた特命係の杉下右京(水谷豊)は、安岡の仲間、新井正二(山本龍二)と竹内秀雄(ぎたろー)に接触。なんと自ら新メンバーに立候補し、発掘作業を手伝いながら捜査を進めることに…。
一方、冠城亘(反町隆史)は、安岡たちが掘っていた地点は、すでに大手不動産会社会長・東堂元信(目黒祐樹)率いる大規模プロジェクトチームが発掘を行い、何ひとつ見つからなかった場所だという情報を入手する。
しかも、安岡が警備員として東堂の不動産会社に派遣されていたことも判明。
2人の接点に不審を覚えた亘が東堂の周辺を探ったところ、3年前、東堂の息子の妻・沙耶香が失踪し、その直後、東堂が発掘プロジェクトを中止していた事実をつかむが…!?
隠された真実を掘り起こすため、特命係は最後、驚がくの作戦に出る――!
主な出演者とスタッフ
出演者
杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史
小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子
伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇
青木年男(あおきとしお)=浅利陽介
出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子
中園照生(なかぞのてるお)=小野了
☆
安岡宏=小宮孝泰
東堂元信=目黒祐樹
新井正二=山本龍二
竹内秀雄=ぎたろー
東堂沙耶香=朝見心
ほか
スタッフ
脚本=斉藤陽子
監督=権野元
音楽=池頼広
エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか
その後どうなった?(ネタバレ)
東堂元信の息子・憲一と沙耶香の夫婦には祐希という息子がいる。
憲一が沙耶香の捜索願を出した1週間後に元信が安岡たちの元を訪れ「沙耶香から連絡があり、事情があるから探さないでほしいと頼まれた」と言っていた。元信の話では沙耶香は男と駆け落ちしたらしい。
沙耶香の駆け落ち相手も行方不明に?
しかし不信を抱いた安岡は1人で調べを続け、調べきれないうちに定年を迎えてしまった。
沙耶香の駆け落ち相手とされる熊沢和也も沙耶香と同時期に行方不明になっていた。
妻の浮気に逆上した憲一が殺害し、父の協力を得て発掘現場に遺棄したのか?
安岡の妻はすでに亡くなっており、安岡は新井に「家族がいるってことがどれほど幸せなことか。会いたくても二度と会えないっていうのはつらいもんでな」と話していたという。
ここ掘れワンワン3号代理・杉下右京
右京は「ここ掘れワンワン」の3号代理として発掘に加わる。
発掘現場の目印となるお地蔵さんが、以前の写真と様子が違う…お地蔵さんは動かされていたのだ。
右京は3号代理として4号に扮した亘と「ここ掘れワンワン」の緊急ライブ動画を配信。
「お地蔵さんは動かされていた。お宝が隠されている本当の洞窟を発見した」と発表し「続きは明日、発掘ライブで」と視聴者をあおる。
夜、ライトとスコップを持って洞窟に入ろうとする人物がいる。
右京が「おや、こんな時間にお宝探しですか?」と訊ねたその人物は宝山楼の従業員である高橋明子こと東堂沙耶香だった。沙耶香は自分が殺害した熊沢の遺体を掘りに来たのだ。
真相は…
沙耶香は熊沢に体の関係を迫られて、揉み合った際に熊沢を殺してしまった。警察に行くという沙耶香を元信が引き止め、埋蔵金発掘現場に熊沢の遺体を隠させ、一生見張っておくように命じていた。
安岡はお宝探しで宝山楼に宿泊した時に沙耶香を見かけてすべてを悟った。安岡に真相を明らかにするよう迫られた元信が安岡を殺害した。
安岡が殺害された日の20時ごろ、タクシーに乗った元信が安岡家のそばで降りたとの証言があった。
元信は「家族に殺人犯がいることがどういうことか、あんたらならわかるだろう。祐希のためにしたことだ」と右京たちに同意を求めた。
右京は「あなたのような身勝手な人間に家族を語る資格などありませんよ!」と断罪した。
安岡は本当の「お宝」に気づいていた
一方で、安岡が沙耶香のことに気づいていながら捕まえなかったのは、祐希のために罪を抱えて生きると決めた沙耶香に無理に詰めよれば沙耶香が命を絶つ恐れまであると考えたからだった。
安岡は、沙耶香から罪を償う機会を奪い、人生も奪った元信の口から真実を語らせようとしたのだ。
「会いたくても二度と会えないってのはつらいもんでな」と話していた安岡には沙耶香のつらさがわかっていた。
罪を償えばまたいつか家族に会える日も来る。安岡は沙耶香を家族のもとに帰したかったのだ。
感想など
徳川埋蔵金を求めて「お宝探し」をするのは男のロマンのひとつであるようですが、人にはもっと身近に「宝物」があるんじゃないかと気づかされる内容でした。
「ユアライブ」の「ユアチューバー」
新井正二、竹内秀雄、安岡宏の3人は徳川埋蔵金を探して洞窟を探検していました。また、その様子を「ここ掘れワンワン」という動画に登場する1号、2号、3号として、動画配信サイト「ユアライブ」に投稿していました。
新井や竹内にとっては、埋蔵金を探し当てることが本来の目的なのですが、その様子を動画配信サイトに投稿していたのは、なぜなのでしょうか。
「ユアライブ」は「YouTube(ユーチューブ)」の【相棒】版といったところでしょうか。
右京さんによると、定年後の第2の人生として「ユアライバー」になるシニアが増えているとか。「ユアライバー」は「ユーチューバー」を指しているのでしょう。
誰でも気軽に発信できて、動画の再生回数によってはお金稼ぎもできてしまうユーチューバーは、10代の「なりたい職業」で上位にくるほどの人気です。
お笑いタレントなど芸能人がユーチューバーに転身する例も増えています。その波及効果がシニア層にも及んでいるようです。
ただし、新井や竹内にとってはユアライバー活動はお金のためというよりも、視聴者とのロマンの共有のために続けているものなのかもしれません。また、本当に埋蔵金を見つけた時の証拠のために動画を残しておきたいという目的もあるでしょう。
「ここ掘れワンワン」のチャンネル登録者数や動画再生回数がどれくらいかはわかりませんが、チャンネルをバズらせたい思惑の一方で、そういった数字にとらわれることなく、好きなことをやって動画にしているという好奇心満載の企画が、右京さんの琴線に触れていたのかもしれません。
埋蔵金ハンターに加入した意図
ただし「ここ掘れワンワン」の埋蔵金ハンター3号である安岡宏は、新井や竹内とは違った理由で発掘に参加していました。
安岡は世田谷西署の警部補だった時に、東堂沙耶香が行方不明になった事件を担当していました。しかしこの事件の捜査は、沙耶香の義理の父親である元信による「沙耶香を探さないでほしい」との申し出によって打ち切られます。
納得がいかない安岡は、1人で調査を続行しますが、調べきれないうちに定年を迎えてしまいました。
沙耶香の夫である憲一を疑う安岡は、沙耶香とその駆け落ち相手の死体が遺棄されているかもしれない場所を突き止めます。
そして、自分が埋蔵金発掘しているふりをして死体を発見しようとしていることを、元信とその息子に知らせようとしました。
会いたくても二度と会えないつらさ
安岡宏は温泉旅館で沙耶香が身分を隠して働いている姿を見かけ、すべてを悟りました。沙耶香は男を殺した罪をかぶって家族の元から消え、死体の隠し場所を見張って生きていると。
妻を亡くしてから1人で暮らしてきた安岡は、独り身になってから、家族がいることがどれほど幸せなことかを自覚するようになっていました。
妻と会いたくても二度と会えないというつらさ。
そのつらさは、自分の子供と二度と会えないと思っている沙耶香も同じなのではないか。
しかし、沙耶香の子供は生きています。沙耶香が罪を償えば、家族に再会することは許されるはず。
そう考えた安岡は、自分の身を賭して真実を明らかにしようとして、殺されてしまいました。
本当に大切な「お宝」は身近にある
安岡が土を掘っていた場所には死体は埋まっていません。
そんなことは知らない安岡は、せっせ発掘作業に専念していました。
真実を明らかにして、埋められた人物を供養してやりたいという安岡のまごころがシャベルを動かしていたのではないでしょうか。
安岡が掘り当てようとしていたのは、埋蔵金よりも大切なものだったのです。
ドラマの中で、埋蔵金さがしに夢中になる新井に対して妻が邪険な態度で接する場面が出てきます。これは「もっと近くにある大切なものを大事にするべきなんじゃないの?」という視聴者への問いかけだったような気がします。
事件の解決後も新井と竹内はハンター1号・2号として埋蔵金発掘をめざし続けているようです。それはそれで、とても幸せなことなのかもしれません。
当たり前のようにあるものに対して鈍感で、無いものねだりをしてしまう。
自分にとって本当の「お宝」とは何なのか。胸に手を当てて考えて、思い当たったものを大切にしようと思いました。
声に出して読みたい右京さんのセリフ
「おや、こんな時間にお宝探しですか?」
「あなたのような身勝手な人間に家族を語る資格などありませんよ!」